日中 vs. 韓国
〜シリーズ
「アテネ五輪」
(4c)
■日中 vs. 韓国〜シリーズ「アテネ五輪」(4c)■
アテネ五輪体操のルールは、選手層の薄い韓国や開催国ギリシャに不当に有利であり、逆に選手層の厚い日本や中国にとっては、たった1つのミスでメダルを逸するような、まるで体操大国の一流選手のミスを期待し足を引っ張るような「意地悪ルール」。もし以前のようなルールに戻せば、確実に日中はメダルが増え、韓国のメダルはほぼゼロになるので、北京五輪では日中が結託してぜひルールの改正を。
■日中 vs. 韓国〜シリーズ「アテネ五輪」(4c)■
【臨時増刊「バントは侮辱?〜シリーズ『アテネ五輪(4b)』」は → こちら 】
【前回「長嶋JAPANと山本JAPAN〜シリーズ『アテネ五輪(4)』」は → こちら】
04年8月16日(日本時間17日)に行われたアテネ五輪体操・男子団体決勝で、伝統的な体操大国である中国は5位に終わったが、逆に体操競技人口が少なく選手層の薄い韓国が「生意気にも」中国を上回る4位になった。
韓国は18日(日本時間19日)の、男子個人総合でも、銀、銅メダルを獲得し、中国勢を凌駕した。 なんで、こんな奇妙なことが起きるのか、と筆者はルールを調べてみて、あきれた。
●「体操小国」に有利●
あたりまえのことだが、伝統的に体操競技のルールは、体操競技人口が多く選手層の厚い「体操大国」に有利になっていた。
体操の団体では、多数(6人)の選手がエントリーされ、そのうち多数(5人)が各種目ごとにチームの監督に選ばれて競技し、そのうち各種目でチーム内で最低点をマークした競技者の得点を除いて、残りの者(4人)の得点を合計してチーム別成績を争うのが基本だ。
これは、鉄棒から落ちる、などといった「たった1つの不幸なミス」で体操大国のチームが実力不相応な合計点を出すことがないように、その国の、体操における真の実力が反映されるように、と配慮された方式(6-5-4制)で、00年シドニー五輪はもちろん、04年アテネ五輪でも予選までは適用されていた。
が、アテネ五輪の決勝では、なぜか各種目とも少数(3人)の競技者全員の得点合計をそのままチームの成績とする方式(6-3-3制)に変更されていた。
これでは、多数の種目をこなせる一流選手を3人しか持たない、あるいは1つの種目しかできない「一発屋」に頼る、選手層の薄い国に有利だ。逆に、選手層の厚い国でもどれかの種目で競技者のうち1人が「1つのミスもできない」というプレシャーに負けて大きなミスをすれば、チーム全体でも大幅に失点し、メダルを失いかねない。これはまるで、体操大国の一流選手のミスを、体操小国が期待し、そのミスに付け込んで分不相応なメダルを手に入れようという「意地悪ルール」ではないか。
そのうえ、予選の成績を決勝に持ち越したり、団体の成績を個人総合や種目別に持ち越す、といった伝統的な「持ち点制度」もなくなっている。従来は、日本や中国のような体操大国は、6-5-4制などによるプレッシャーのかかっていない状態で、団体の予選、決勝で実力どおりの好成績を出し、その成績を持ち点として精神的なアドバンテージ(優位)を得て(さらにプレッシャーのかかっていない状態で実力を発揮して)個人総合、種目別でもメダルを量産していた。
が、持ち点制度がなくなり、予選や団体の成績はすべて「ご破算」の状態で、個人総合や種目別を戦うとなると、体操大国は当然持つべきアドバンテージを得られず、一流選手でもプレッシャーを感じてミスで転落する危険におびえ、逆に体操小国では、特定の種目しかできない「一発屋」でも、一流選手のミスに乗じてメダルを取れる可能性が出て来る。
このアテネ五輪の新ルールを最大限悪用してメダル獲得をねらったのが、韓国と開催国ギリシャだ。
韓国は男子個人総合において、日本の冨田洋之、米田功、中国の楊威、米国のポール・ハム、ブレット・マクルアら各国の一流選手が全員致命的なミスをしてくれることに期待して、金大恩(キム・デウン)か梁泰栄(ヤン・テヨン)に金メダルを取らせようとした(が、結局韓国勢は米国のポール・ハムに勝てなかった)。
【この作戦はいただけない。一流選手といえども一定の確率でミスをするのは確かだが、韓国以外の、何人もの金メダル候補が全員そろって致命的なミスをする確率はけっして高くない。今回も結局、米国のポール・ハムが挽回不可能なほどのミスをしなかったため、韓国勢は最高銀メダルに留まった。これは「確率的に見て」当然の結果である(これ以上の結果を韓国が得るには、審判員を買収するか、他国の選手を「呪詛」するぐらいしか方法がない。 (^^;) )。韓国は、このような卑怯な作戦の限界を悟り、次回からはあきらめるべきだ。】
韓国よりもさらに選手層の薄い(団体に出場できない)ギリシャも、新ルールを悪用して、つり輪以外なんにもできないディモステニス・タンパコスにつり輪だけを「ガリ勉」させて、ムリヤリ金メダルを取らせている。
●呪詛合戦●
こんな、ばかばかしいルールはない。
これでは、体操競技は、小国の「一発屋」のために、みんなで一流選手のミスや落下を期待する「サバイバルレース」か「呪詛合戦」になってしまうではないか。タチの悪いマンモス私立大学の入学試験のようなもので、真の実力が反映されるかどうか、疑わしい。
今回、日本男子チームは「たまたま」団体では、6-3-3制のプレッシャーに負けて挽回不可能なミスをすることなく、金メダルを獲得することができた。
が、北京五輪ではどうなるかわかったものではない。6-3-3制が続く限り、日本はプレッシャーを受けるだろうし、開催国中国も、もっと大きなプレッシャーを受けるだろう。
もし北京五輪体操・男子団体の序盤で、日本選手が鉄棒落下などのミスを犯したら、日本国民は(韓国国民といっしょに?)あとから登場する中国選手に「落ちろ、落ちろ」と祈るのだろうか?
体操はそんな卑しい競技ではない。
新ルールは即刻廃止すべきだ。予選と決勝でルールが違うのは明らかにおかしいので、団体決勝の6-3-3制は6-5-4制に戻し、個人総合と種目別への「持ち点制度」も復活させるべきだ。
【また、個人総合や種目別の各国の出場選手枠が、悪平等で一律「1か国2名ずつ」なのもおかしい。日本や中国は実力、選手層から見て、当然「3名ずつ」出場させて上位独占をねらっていいはずで、そういうルール改正も必要だ。】
そうすれば、男子団体の金メダルは(確実に日本のものになるとは言えないが)日本か中国のいずれかに渡る確率が高くなり、また両国は個人総合や種目別でも優位に立ち、逆に、韓国のメダルはほとんどゼロになるはずだ。
それが、世界の体操競技の正しい勢力地図なのだから、当然そうならなければならない。
●体操の嫌いな国●
ギリシャや韓国のような、体操競技人口の少ない「体操の嫌いな国」に有利なルールは、明らかに社会正義に反する。
08年北京五輪は、体操選手層の厚い中国で開催されるのだから、ぜひ中国は日本などの選手層の厚い国に呼びかけて、韓国のような体操小国が「他人のミスに付けこんでメダルをねらう」ような、現在の不公正なルールを是正すべきである。日本も「国益」のために、この場合は中国と結託したほうがよい。
今回の(開催国との共謀?)による韓国など体操小国の作戦は、体操競技を卑しめるものであり、二度と許してはならない。
●因果応報●
ところで韓国は、男子個人総合で銅メダルとなった梁泰栄の、平行棒で採点ミスがあったとして国際体操連盟(FIG)を、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する方針を固めた(時事通信Web版04年8月22日)。
FIGはミスを認め、ミスをした審判に資格停止処分を課したが、「審判の採点は最終結果であり、変更しない」との声明を出している。韓国側は、正しい採点なら梁泰栄が優勝していたと主張しているが、(88年ソウル五輪のボクシングで、決勝戦で米国選手にダウンを奪われた韓国選手が金メダルを獲得したときのような)「審判買収疑惑」(小誌02年6月13日「審判買収疑惑」)でもない限り、韓国の訴えが認められることはない、という見通しをCASのスポークスマンは語っている。
韓国にとっては、まったく笑えない話だ。
(^^;)
【この問題については次回以降も随時扱う予定です。
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