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●検察 vs. イタリア●

こうして準々決勝までドイツは勝ち続けた。が、次の準決勝の相手は予定のスイスではなく、イタリアだった。

イタリア検察当局は当初、「セリエA八百長疑惑」に関係する選手は、たとえ本大会に出場していても本大会開催中に事情聴取や身柄拘束をする方針だったが(スポーツナビ06年6月3日「波に乗れないフランス代表のトレゼゲ」)、イタリアサッカー協会(FIGC)が自主的に「スポーツ裁判」を開始したため、こうした司法手続きを見送らざるをえなくなった。

 

この「裁判」は司法制度とは直接関係がなく、身柄拘束などの強制措置を伴わない「身内の委員会」にすぎない。が、先進国の司法制度では「十分に社会的制裁を受けた者」には、それを考慮して処分を軽くする慣例があるため、この「委員会」が身内の処分を決めるまで厳しい司法手続きは控えざるをえなくなり、結局、代表選手23人中13人がセリエAの「疑惑対象チーム」に在籍していたイタリア代表チームからは本大会期間中、1人の身柄拘束者も出なかった(毎日新聞Web版06年7月4日「セリエA不正疑惑事件 伊スポーツ裁判開かれる」)。

 

このずるい「裁判」により、本来早々に敗退するはずだったイタリア代表はなんと準決勝でドイツに勝ち、決勝まで進んでしまった。

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●差別 vs. フランス●

かくして「06年本大会はドイツとスイスと日本のための大会」という小誌の予言(予測)ははずれた。02年本大会と違って誤審に「回数制限」がある場合は、主催当局のシナリオを読んだだけでは結果を完全に予測することはできない、ということがわかった次第だ。

(>_<;)

が、予測を狂わす要素はほかにもある。それは「屈辱感」などの心理的要因だ。06年ワールドベースボールクラシック(WBC)の日本代表は米国人審判の誤審に怒り(日刊スポーツWeb版06年3月14日「米も認めた誤審、消された1勝」)、04年アジアカップ(アジア杯)サッカーの日本代表も中国人観客の反日応援と審判の偏向判定に怒り、一致団結して神がかり的に優勝した(アジア杯の日本代表選手はピッチ上で、観客席の日本人サポーターが中国人の暴力を受けるのを目撃した。産経新聞04年7月26日付朝刊25面「サッカーアジア杯 日本協会、安全面など改善要求」)。

 

だから、「セリエA疑惑」の汚名返上に燃える06年W杯本大会のイタリア代表も「神がかり」が可能なのかもしれないが、もっと燃えているのがフランスだ。

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フランスは本大会予選Lでは「誤審」の影響であまり好調には見えなかったが、決勝T一回戦のスペイン戦で一変する。「競技場にバスが着くと、猿の鳴き声でチームの黒人選手が罵られた」うえに、試合前の国歌演奏ではスペイン人の観衆が口笛とブーイングを浴びせたのだ(共同通信06年6月29日付「根深い人種差別 フランス選手に侮辱行為」)。

 

こうなるとアジア杯の日本と同じだ。

フランスは敵国スペインを「3-1」で圧倒したあと、準々決勝では優勝候補のブラジルを、準決勝ではポルトガルを下して決勝に進んだ。

 

だから「フランス対イタリア」の決勝戦の結果を予測するのは困難だ。

が、これだけは確実に言える、「もし、試合前か試合中にイタリア代表選手(全員白人)か(イタリア人でなくても)白人の観客が、フランス代表の黒人選手に人種差別的な言動をしたら、その瞬間に『模擬裁判』までやって検察当局から選手の身柄を守ったFIGCの努力はすべて水泡に帰する」。

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04年アジア杯準々決勝のヨルダン戦では、日本は、主審にPK戦の途中でゴールマウスを日本に不利に替えられるという、前例のない不公正な扱いを受けたが、GK川口能活の超人的な好セーブの連続で逆転勝ちしし(スポーツナビ04年7月31日「日本 1-1 ヨルダン」)、準決勝のバーレーン戦でも後半ロスタイムに同点に追い付き、延長戦の末また逆転勝ちし(スポーツナビ04年7月31日「日本 4-3 バーレーン」)、結局優勝した。

 

「怒りに燃えた愛国心」はどんな逆境でも乗り越えてしまう。

だから、W杯本大会を中国で開催してくれれば、日本は優勝できるだろう。

(^^;)

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 (敬称略)

 

 

 

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