ダイアナ妃 vs.

切り裂きジャック

 

〜英皇太子妃謀殺説

への関心をそらす

名前の偶然?

 

(Dec. 25, 2006)

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■ダイアナ妃 vs. 切り裂きジャック〜英皇太子妃謀殺説への関心をそらす「名前」の偶然?■

 

英国で、故ダイアナ元英皇太子妃の死亡が謀殺でなかったとする英警視庁の報告書が出るのと同時に、「切り裂きジャックの再来」と騒がれる殺人事件が発覚し、英国民の関心は分散した。これにはよく似た3人の名前が関係している。

 

 

 

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■ダイアナ妃 vs. 切り裂きジャック〜英皇太子妃謀殺説への関心をそらす「名前」の偶然?■

 

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●X-dayマイナス3●

2006年12月11日付の英デーリーテレグラフ紙は、1997年8月にパリで交通事故死したダイアナ元皇太子妃の死因を究明する審問のために、ロンドン警視庁が「陰謀説、謀殺説をすべて否定し、単なる交通事故死だった」と結論付ける詳細な捜査報告書を14日に発表する予定だと報じた(共同通信06年12月11日付「元妃死去で陰謀説否定へ 英、14日に捜査報告書発表」)。

 

1997年当時すでにチャールズ英皇太子と離婚していたダイアナ元妃は、イスラム教徒の恋人ドディ・アルファイドと交際中で、パリでパパラッチに車で追いかけられて、ドディの運転手の運転する車でドディと一緒に逃げる途中、その車が事故を起こし、ドディとともに死亡した。

 

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死の直前「ダイアナはドディと婚約していた」「ドディの子を妊娠していた」「ドディとの結婚のためにイスラム教に改宗する予定だった」(ドディと再婚したあとはアメリカに移住し帰化する予定だった)という説もささやかれており、英国民に限らず世界中の人々が「未来の英国国王(ウィリアム王子)の母親がイスラム教徒であったり、国王の異母弟妹がイスラム教徒の子であったりしては困るから、英国の諜報機関が暗殺したのだろう」と陰謀を疑っており、9年後の2006年になってもまだ、世論調査によれば、英国民の3割以上が謀殺説を信じているという(毎日新聞Web版06年12月14日「ダイアナ元妃死亡:陰謀説を否定、交通事故と結論 報告書」)。

 

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●X-dayマイナス1●

他方、英国現地時間(グリニッジ標準時、GMT)06年12月13日、英国警察は記者会見を開き、ロンドン北東100kmのサフォーク州イプスウィッチで2日から12日にかけて5人の娼婦の遺体が発見されたと発表した(英BBC Web 06年12月13日 14:03 GMT「Police chief candid before media」、毎日新聞Web版06年12月13日「売春婦5人遺体で…『切り裂きジャック』を連想」)。英国では1888年に5人(6人説もある)の娼婦が刃物でのどを切られて次々に殺される「切り裂きジャック事件」があったため、国民のあいだには「切り裂きジャックの再来か」という思いが湧き起こった。

 

トニー・ブレア英首相も「この事件の捜査は徹底的にやるべき」という趣旨の発言をし、英国民のこの連続殺人事件への関心はいやがうえにも高まった(06年12月16日放送のTBS『ブロードキャスター』)。

 

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●X-day●

GMT 06年12月14日午前、ダウニング街10番地の英首相官邸に捜査官2人が訪れた。ブレア首相率いる与党、英労働党が、2005年の英議会下院議員総選挙で実業家ら12人から総額約32億円の選挙資金を借り入れるのと引き替えに、その12人のうち4人を、世襲貴族と一代貴族で構成される英議会の上院議員(慣例上、下院の決定を覆せないが、最高裁判所判事を兼ねる名誉職)に一代貴族として就任できるように推薦したという「選挙資金融資疑惑」の捜査のためだ。現職首相の事情聴取は英国では(世界でも)極めて異例なので、英国民はこの「名誉職の売買」に注目した(共同通信06年12月16日付「2つの『汚職』で窮地 色あせたクリーンさ」)。

 

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同日、故ダイアナ元英皇太子妃の交通事故死を検証していたスティーブンス(Stevens)元英警視総監の調査チームは14日、予想どおり謀殺説を完全否定する「最終報告書」を発表し、妊娠説まで否定した(英BBC Web 06年12月14日 7:54 GMT「Diana death a 'tragic accident'」、毎日前掲記事)。が、英国のマスコミは「(報告書の発表と事情聴取を同じ日にしたのは)首相聴取のニュースを小さく扱わせる策略」と噛み付いた(共同通信前掲記事)。

 

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同日、ブレア政権は重大不正取締局(SFO)が進めていた航空防衛機器大手BAEシステムズ社に対する汚職捜査を中止すると発表した。BAEは武器輸出のためサウジアラビア政府高官らに多額の賄賂を贈っていたとの疑惑が取り沙汰されていて、ブレア首相は「テロとの戦いに必要な情報交換のためにはサウジとの外交関係は重要なので、国家安全保障上の理由で捜査中止を決めた」という趣旨の釈明をしたが、英議会ではだれも信じていない。サウジは昨2005年、BAEなどが開発する戦闘機ユーロファイターを購入する覚書を英国と締結したものの正式契約が遅れており、サウジ側がフランスからの輸入に切り替えると示唆していたため、この武器輸出契約を成立させるための交換条件として汚職捜査を中止した可能性が高いからだ(共同通信前掲記事)。

 

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●X-dayプラス1●

事情聴取を受けた首相が、別件とはいえ「強権発動」で捜査の打ち切りを決める異常事態に、マスコミの関心は当然高まる。中道左派系大手紙で、本来与党労働党支持の英ガーディアン紙は、15日付の社説で「誠実さを持ち味として来たブレア政権の名声は吹き飛んだ。首相にはけっして消すことのできない傷が付いた」と厳しく批判した(共同通信前掲記事)。

 

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●X-dayプラス4●

GMT18日、英国警察捜査当局はイプスウィッチの娼婦5人連続殺人事件の容疑者として37歳の男トム・スティーブンス(Tom Stephens)を逮捕した。男は逮捕前に事件についてTVカメラの前で語っていたため、逮捕後、英マスコミは一斉にその映像を流し、英国民の関心はそのスティーブンスに集中した(英BBC Web 06年12月18日 16:02 GMT「The Suffolk Murders: An Arrest」、毎日新聞Web版06年12月18日「売春婦殺人事件:近くに住む37歳の男を逮捕 英国」)。

 

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●X-dayプラス5●

ところが、GMT翌19日、英捜査当局は同じ事件で2人目の容疑者として48歳の男スティーブン・ライト(Stephen Wright)を逮捕する(英BBC Web 06年12月19日 18:58 GMT「Second man held in murders probe」、毎日新聞Web版06年12月19日「英売春婦殺害:2人目の容疑者として48歳の男も逮捕」)。

 

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●X-dayプラス7●

GMT21日、英捜査当局は「スティーブン・ライトを起訴し、最初に逮捕した容疑者トム・スティーブンスはすでに釈放した」と発表した(英BBC Web 06年12月21日 23:07 GMT「Man charged with Suffolk murders」、毎日新聞Web版06年12月22日「英売春婦殺害:48歳の男起訴 37歳店員は釈放」)。

 

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●3人のスティーブン(ス)●

ダイアナ謀殺説を否定した報告書は調査チームを率いたスティーブンス元警視総監の名をとって「Stevens Report」と呼ばれるため(英BBC Web 06年12月14日 7:54 GMT「Diana death a 'tragic accident'」)、この通称をTVで聴いた英国人が、それをインターネットの検索サイトで捜すときにStevensの綴りを間違えてうっかり「Stephen(s) Report」と入力すると、Tom StephensやStephen Wrightの捜査情報、つまり「21世紀の切り裂きジャック」に関するWebページが大量にヒットすることになる。これは3人の名前が似ていることによるのだが、はたして偶然だろうか。

 

英語圏におけるStephen(s)の読みはステファン(ス)ではなく、スティーブン(スティーヴン)(ス)であり、その発音記号はSteven(s)のそれとまったく同じである。それは、米国の著名な小説家スティーヴン・キング(Stephen King)の名前を見れば、明らかである。】

 

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イスプウィッチではGMT12月2日から10日にかけてすでに3人の娼婦の遺体がみつかっているが、この時点では英国警察は記者会見を開いていない。13日、つまりStevens Report発表の前日になって、さらに2人の遺体がみつかるのを待って(1888年の「元祖切り裂きジャック」と被害者の数が同じになるのを待って)初めて記者会見を開いている。もし「2人足りない状態」で記者会見を開いていれば、「切り裂きジャックの再来」と言われることはなく、「よくある娼婦の殺人」で片付けられていただろうし、英国民のこの事件への関心が高まることもなかっただろう。

 

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GMT18日、英捜査当局は(わざと?)元警視総監とまったく同じ発音の姓を持つ「無実の男」を逮捕するが、これが英国民の関心を「Stevens Report」からそらす効果を持ったことは言うまでもない。この男が英国民の関心をつなぎ止めている間に、捜査当局は「本命?」の48歳の男を逮捕したが、この男もたまたま偶然末尾にsのないStephenという名前を持っていたため、英国民の「Stevens Report」への認識はさらに混乱し、報告書への関心も相当に薄くなっただろう(彼も無実かもしれない)。

 

ブレア首相への歴史的な事情聴取も何も14日午前にやる必要はなく、BAEスキャンダルの捜査打ち切りも14日午後に決める必要はなかった。つまり、意図的かどうかはともかく、英国の政府と司法当局は寄ってたかって「Stevens Report」発表の日にほかの重大ニュースをぶつけて、国民の関心を分散させたことになるのだ。

 

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3人のスティーブン(ス)といい、3つの大ニュースの14日集中といい、これほどみごとな偶然が英国の諜報機関にとって都合のいい形で連続して起きることはありえない。どう見ても「偶然」ではなく「作為」だろう。

 

たとえ作為でなかったとしても、これだけ立て続けに重大ニュースが飛び込んで来れば、英国のマスコミには「最終報告書」の内容の真偽をじっくり検証する特集番組や特集記事を作る暇はほとんどなくなるので、もしも報告書の内容にウソが含まれているとしたら、それをごまかして発表するには、2006年12月14日は結果的に最適のタイミングだったと言える。

 

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●007に国籍制限●

2006年12月現在日本でも公開中の、英国スパイ007ジェームズ・ボンドが主人公の映画『カジノ・ロワイヤル』のボンド役は6代目のダニエル・クレイグだが、どう見ても彼はハンサムでないため、配役決定直後には一部のファンがボイコットを呼びかけた(英BBC Web 06年2月22日「Fans threaten to boycott 007 film」)。映画会社がハンサムで人気のあった5代目ボンド俳優ピアース・ブロスナンを降板させ、ハンサムでないクレイグを起用してリスクを冒さざるをえなかった理由は「ブロスナンが高額な出演料を要求したから」などと噂されているが(ウィキペディア「ピアース・ブロスナン」)、筆者が20年以上前にNHKの、土曜の夜の海外情報番組(司会は平野次郎キャスター)から得た情報によると、そうではない。

 

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その番組にVTR出演していた『007』シリーズのプロデューサーは「ボンド役は英国人または英連邦人でなければならない」つまり「米国人はダメ」と言明したのだ。米国は、世界中から「アメリカンドリーム」を夢見る移民が集まる超大国で、公用語は英国と同じ英語であるため、元々「われこそは」と自分の才能に自信を持つ英国人にとってはもっとも移住したい国、移住しやすい国である。

 

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シリーズの途中から米国資本で製作するようになったとはいえ、英国を代表する映画シリーズの主役を、英連邦を脱退した米国の俳優が務めることは、英国にとって「国辱」であり、英国民に「米国のほうが英国より上」「みんなで米国に移民しよう」と宣伝するのと同じことになる。

 

ブロスナンは英連邦加盟国アイルランドの国籍を持っていたが、永年米国に住み、2004年に米国市民権を取得した。となると、どんなに人気があっても2005年以降は彼を英国の「国威発揚映画」の主役にとどめておくことはできない。英国の指導層としては、英国民への「移民奨励」を防ぐため、彼を降板させざるをえまい。

 

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そしてダイアナにも、ドディと結婚したあと米国に移住する計画があった、と死亡前後に報道されていた。それが事実なら、英国でいちばん人気のある女性で、しかも未来の英国国王の母親が「米国への移民奨励」の広告塔になることになる。そんな事態になったら、英国の優秀な人材はごっそり米国に吸い上げられ、英国は衰退してしまう。

 

だから、英国諜報機関にはダイアナを「事故死」させる必要があったのではないか。

 

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が、ブロスナンは生きている。なぜだろう。

 

やはり彼はジェームズ・ボンドだから不死身なのか。

(^^;)

 

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●ご挨拶●

本年2006年も1年間、小誌をご購読頂き有り難うございました。本年の配信はこの号で終わり、来年2007年は1月中旬より配信を再開する予定ですが、また、大きな事件が起きた場合、重要な情報が手にはいってお知らせしたくなった場合は、1月中旬にならずとも配信を再開させて頂きます。

 

本年に引き続き来年もご購読賜りますれば、幸甚に存じます。

m(_ _)m

 

【この記事は純粋な「推測」であり、筆者の個人的な「期待」は含まれていません。】

 

【小誌をご購読の大手マスコミの方々のみに申し上げます。この記事の内容に限り「『中途採用捜査官』シリーズの小説家・佐々木敏によると…」などの説明を付けさえすれば、御紙上、貴番組中で自由に引用して頂いて結構です。但しホームページやメールマガジンによる無断転載は一切認めません。】

 

【CDMA 1X WIN で機種がW11H/W11Kの方は、『踊る大捜査線』の作者・君塚良一氏推薦の、佐々木敏の小説『中途採用捜査官 SAT、警視庁に突入せよ!』電子版(本文のみ \1260)をお読み頂けます。ご購入は → http://ez.spacetownbooks.jp/esharp_test/Top

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 (敬称略)

 

 

 

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