〜戦争も選挙もだまし合い〜
昨2006年の安倍晋三内閣の発足直前、筆者がその政権基盤の弱さを指摘し、この内閣が国政選挙で負けて退陣する事態を想定して、早々と「ポスト安倍」を占う記事を書いたところ(小誌2006年9月8日「ポスト安倍〜10か月後に『2年限定政権』へ」)、「そんなバカな」というご批判のファンメールをいくつか頂いた。理由は、発足直後の安倍内閣の世論調査における支持率が60〜70%もあり、発足直後の内閣としては歴代3位と異様に高かったからだ(読売新聞Web版2006年9月27日「安倍内閣の支持率70.3%、歴代3位…読売世論調査」、朝日新聞Web版2006年9月27日「安倍内閣支持率63%、戦後3位の高水準 本社世論調査」)。
周知の如く、その後安倍内閣の支持率は坂道をころがるように下がっていくので(朝日新聞Web版2006年11月14日「内閣支持率下落53%、無党派と若者離反 本社世論調査」、同12月12日「内閣支持率、続落47% 本社世論調査」、同2007年2月19日「内閣支持率37%、不支持40%と逆転 本社世論調査」、同3月13日「内閣支持、横ばい38% 不支持は41% 本社世論調査」)、結果的に上記のファンメールのご批判は間違いだった。が、実は、たとえ内閣支持率が半年で30%台まで落ちるような事態が起きなかったとしても、上記のご批判は早計なのだ。
なぜなら、選挙とは、内閣支持率で勝敗が決まるような、単純なものではないからだ。
●ウソつきでも当選●
たとえば2004年の米大統領選。
その投票日(11月2日)の直前の10月6日、ジョージ・ブッシュ現大統領が決断した2003年のイラク戦争開戦の根拠であった「イラクの大量破壊兵器(WMD)開発疑惑」がまったく的外れだったことを示す米国政府の最終報告書が米議会に提出された。イラクの危険な独裁者サダム・フセイン大統領(当時)にWMDを持たせてはいけないという理由でブッシュは開戦を主張して国民の支持を取り付けて戦争を始めたのに、その根拠が間違いだった、つまり、結果的にブッシュはウソをついて開戦したという事実が、よりによってブッシュが再選をめざして立候補している大統領選の直前に確定し、報道されたのである。常識的に考えれば、これで「ウソつきブッシュは落選」となるはずだ。
ところが、そうはなっていない。共和党のブッシュは、民主党のジョン・ケリー候補(上院議員)に競り勝って再選されている。
理由は、州ごとに「勝者総取り」方式で大統領選挙人を選ぶ米国独特の選挙制度と、キリスト教原理主義右翼(保守派)の組織票だ(小誌2004年11月15日「宗教票=人種票〜シリーズ『米大統領選』(2)」)。
実は、この大統領選(およびそれと同じ日に投票される上下両院選)の前の数年間、米国では、カソリック(カトリック)教会、つまり、米民主党支持者の多いキリスト教の最大勢力(全米総人口の25%)の聖職者による児童(少年を含む)への性的虐待疑惑が連日報道されていた(日本カトリック司教協議会Web 2002年6月21日「子どもへの性的虐待に関する司教メッセージ」、米CNN Web 2004年10月9日「D.A.'s clever tactic in child sex abuse wars」)。これによって、カソリック組織を利用した民主党の集票活動は困難になり、他方、そうしたスキャンダルを一切報道されなかった「道徳的に潔癖な」キリスト教右翼の支持を得た共和党は、「同性愛の罪悪視」「同姓婚禁止」などの保守政策を掲げて当然のように「草の根保守派」の有権者の支持を固め、選挙に勝ったのだ(ちなみにケリーはカソリック信者)。
ところが、その2年後の2006年の中間選挙(下院議員全員と上院議員の1/3を改選)になると、逆のことが起きる。
2004年の大統領選で保守票取りまとめに辣腕を振るった、全米に3000万人もの会員を持つキリスト教保守派の有力団体、全米福音派協会(NAE)のテッド・ハガード会長に同性愛買春疑惑が浮上し、結局彼は、中間選挙の投票日(11月7日)直前の11月2日に会長職を辞任した(共同通信2006年11月4日付「宗教右派トップが辞任 男性買春と覚せい剤疑惑で」、産経新聞2006年11月5日付朝刊6面「2006米中間選挙:共和党、揺らぐ大票田 福音派協会会長辞任」)。
実は、このスキャンダルの直前に、共和党のマーク・フォーリー下院議員が少年にわいせつな同性愛メールを送っていたことが発覚し議員辞職した事件もあったため、「反同性愛」で結束していたキリスト教右翼と共和党の関係はすでにかなり動揺していた(産経前掲記事)。そこへNAE会長が「男を買った」という疑惑が加わったため、保守派有権者の受けた衝撃は計り知れない。同性愛批判の急先鋒が同性愛者だったのだから、「だれを信じていいかわからない」ほどのショックを受けたであろうことは想像に難くない(中間選挙の投票日に、ハガードの住むコロラド州では同性婚を認めるべきか否かを問う住民投票も同時に行われることになっていた。共同通信前掲記事)。
かくして、2年前の大統領選で米CNNの「出口調査」回答者の23%を占めるほどの力を発揮した福音派の大票田は呆気なく消滅し、2006年中間選挙では、共和党は上下両院ともに議席を減らし、代わって民主党が両院で過半数を獲得した。
【米国では、2004年の大統領選(と上下両院選)の前にはカソリックのスキャンダルばかりが報道され、宗教右翼のそれは報道されなかったため、共和党が大統領、上院、下院の3つの選挙ですべて勝ち、2006年の中間選挙の前にはまったく逆の報道が行われたため、民主党が上院、下院の選挙に勝ったのだ。
それによって、米国の対北朝鮮政策がにわかに「強硬路線」から「宥和路線」に変わったところを見ると、2006年の米国では、何者かが「中朝戦争」(小誌2007年3月1日「脱北者のウソ〜シリーズ『中朝開戦』(2)」)を準備するために世論操作をしたのではないか、と疑われる。つまり、さも「民意が変わったから、選挙結果が変わった」ように見せかけながら、共和党と民主党の間で政策と政権をやり取りする「談合」が成立しているのではないか、という疑念が湧く。】
指導者(首相、党首、大統領、有力議員)が(イラク戦争の開戦根拠のウソなど)悪いことをして国民の批判を浴びたら選挙に負けるはず、あるいは(安倍首相の就任直後の訪韓、訪中などの)よいことをして国民にほめられたら選挙に勝てるはず、などと単純に考えてはいけない。小学校の社会科の教科書には、民主主義とはそういうものだ、と書いてあるかもしれないが、そういう「教科書どおりの民主主義」を機能させない方法はいくらでもある。
●孫子の兵法●
2007年のNHK大河ドラマ『風林火山』(井上靖原作)には中国の古典『孫子の兵法』からの引用がよく出て来る(そもそもタイトルからして『孫子』の「其の疾きことは風の如く…」で始まる下りから取っている)。
4月1日放送の第13回「招かれざる男」では、主人公の山本勘助が高禄で甲斐(現山梨県)の国守、武田晴信(信玄)に召し抱えられて武田家譜代の重臣たちに嫉妬され、重臣たちに道場に呼び出されて木刀での剣術の試合を強要されそうになるところから始まる。勘助は片目片脚が不自由なので、重臣のなかの剣術の達人と戦わせてやっつけようという「転校生へのいじめ」のような場面が展開されそうになったのだ。
ところが勘助は、木刀でなく「真剣で、いくささながらの勝負がしたい」と逆提案した。重臣たちが同意したため、日を改めて屋外で、武田家随一の猛将と言われる原美濃守虎胤(はら・みののかみ・とらたね)と文字どおり「真剣勝負」をすることになった。
が、いざ勝負が始まる段になると、晴信や重臣たちの居並ぶ決戦場で、勘助はまた条件を出す、
「それがしが優勢になれば、原様はそれがしの(片目片脚が不自由なことにつけ込んで)死角へ死角へとまわられましょう。『鬼美濃』と称せられるほどのお方がそのような方法で勝たれても、なんの自慢にもなりますまい」。
勘助は決戦場の近くの池に浮かぶ小舟を指差し、あの舟の上ならば互角の勝負ができるので、あそこでお願いしたいと提案した。実は、この小舟と、小舟に渡るための別の小舟すなわち渡し舟、およびその渡し舟を操る船頭を、勘助は事前に用意していたのだ。
自分の剣術の腕に自信がある虎胤は即座に承諾し、2人は渡し舟に乗って決戦場となった小舟に渡り、渡ると同時に真剣を抜いた。
ところが勘助はまったく斬り合いなどせず、水面を刀で払って水しぶきを立てて虎胤の顔にかけて目くらましをし、続けて刀を垂直に船底に突き刺して穴を空ける。
穴から流れ込んだ水で虎胤がすべってころぶと、勘助はその隙に渡し舟に飛び移り、そこから決戦場の小舟に綱を投げ込む。泳ぎのできない虎胤が、船底で七転八倒しながらその「命綱」にすがり付くと、勘助はさっき抜刀した真剣でその綱を切ろうとしつつ「それがしの勝ちにございますなあ」と言い放つ。
ずぶぬれになった虎胤を見て、重臣たちは笑い出し「これははたし合いではのうていくさなれば、口説(くぜつ)もいくさの道具になり申す」(よって勘助の勝ちである)と認め、勘助は虎胤の命は取らず、代わりに孫子の名言「兵は詭道(きどう)なり」(いくさとはだまし合いである)を宣言するように叫んで戦いを終えた。
つまり、勘助が「真剣勝負がしたい」と言ったのは、斬り合いをするためではなくて、船底に穴を空けるためだったのだ。
●選挙の兵法●
政党とはなんであろうか。
日本では、日本共産党のように万年野党を決め込んでいる党を除けば、その目的は選挙に勝って政権を取り、自らの政策を実現しようとするのが政党だ。だから、政党は選挙に勝たなければならない。
では、選挙とはなんであろうか。
民主党の小沢一郎現代表は2006年4月の代表就任以降、地方を行脚して、党の地方組織を励まし建て直し、自民党の規制緩和政策や公共事業削減で傷付いた地方の業界団体の支持(組織票)を取り付けることに腐心し、また社民党、国民新党など非自民勢力との選挙協力を模索し、2006年11月の沖縄県知事選や2007年4月の参議院沖縄選挙区補選では、ネコの手ならぬ共産党の手まで借りて自民党に勝とうとし(結果は知事選、補選ともに惜敗)、徹頭徹尾、与野党対決の構図を描こうとした。
このため、国会運営でも、民主党から見ても十分妥当と思われる政府提出法案(教育基本法改正案や憲法改正のための国民投票法案)にもむりやり反対票を投ずる構えで臨むこととなった。
この手法に対して、民主党の中堅・若手の国会議員たちは批判的である。
たとえば、枝野幸男・党憲法調査会長(衆議院議員。当選5回)は「読売国際会議・日本国憲法施行60年記念特別フォーラム」の聴衆の前で、国民投票法案で与党と修正合意できなかったことについて
「責任は安倍首相と小沢代表にある」
「(自民、民主)両方で現場(衆議院憲法調査特別委員会)の議論を聞いていない人が余計なことを言う」
と不満をぶちまけた(読売新聞Web版2007年4月28日「民主・枝野氏、国民投票法案めぐり小沢氏を批判」)。
枝野より若手の長島昭久(衆議院議員、当選2回)も自身のブログで告白している:
「民主党が政権交代を目指すのであれば、今の(小沢執行部の)戦い方を続けていて本当にいいのかという疑問は、少なくとも私の同期議員をはじめ当選1〜2回生の間に深刻な広がりを見せている」(長島昭久WeBLOG 2007年04月14日『翔ぶが如く』「これが政権交代可能な野党か…!?」)。
つまり、若手が望んでいるのは、「たとえ部分的に自民党と同じ政策を打ち出すことになってもいいから、自らが正しいと信じる政策を国民にアピールすべきだ」ということであり、その考えは「正しいことを訴えれば、必ず選挙に勝てるはず」という「教科書どおりの民主主義」だ。
が、そんな「教科書どおり」の戦術を取っていては、有権者に民主党と自民党の違いがわからなくなるうえ、2007年7月の参議院通常選挙での野党共闘は実現できなくなる。だから、小沢は若手の不満には耳を貸さない。
詰まるところ、選挙のことを、若手ははたし合いと考え、小沢はいくさとみなしているのだ。だから、両者の意見が一致することはあるまい。
筆者は民主党の若手に問いたい、「いったい何を根拠に『はたし合いをすれば勝てる』と思うのか」と。
はたし合いなら、あらかじめ決められた明快なルールに基づき、プレイヤーが正々堂々と実力を発揮し合ってその「実力」に優劣を付け、敗者はその結果(実力差)を潔く受け入れて負けを認めるしかない。他方、いくさとは、「口説」を武器に戦いのルールを決めるところから始まり、たとえ実力で劣っていてもその実力差を甘受せず、あらゆる手段を用いてその差を覆して勝とうとするものだ。
民主党の若手の言うとおりの方法で民主党が選挙に勝ったり政権を取ったりできるためには、相手の自民党も、いくさでなく、はたし合いをしてくれる、という前提条件が必要だ。が、自民党は結党以来一度もはたし合いなどしたことはない。常に(2006年4月以降の小沢がやっているように)業界団体などの組織票固めに励み、1993年の衆議院総選挙に敗れて下野したあとも、当時の非自民連立政権との実力差をまったく認めようとせず、なんと永年の敵、社会党(現社民党)と組んで衆議院の過半数を奪回し、翌1994年6月に強引に政権与党の座に返り咲いている。
1994年12月に公明党を含む非自民勢力が結集して新進党を結党し、同党が1995年参院選の比例代表で自民党を上回る大量得票を記録すると、公明党の最大の支持基盤の創価学会に恐れをなした自民党は、国会で創価学会批判を展開し、同学会の池田大作名誉会長の証人喚問までちらつかせて「新進党は政教分離すべきだ」と迫った。
この罠にまんまとひっかかって、新進党が解体し公明党が分離独立すると、1999年、自民党は公明党と連立政権を組み、全国数百万(800万?)とも言われる創価学会の組織票を手に入れ、以後、2007年のこんにちまで一貫して与党であり続けている。
非自民勢力は正々堂々と自民党と戦って勝ったことがほとんどない。他方、自民党は常に「口説」を弄して、非自民勢力の中に賛同者を探し、寝返らせ、自陣営に取り込むことで政権を維持して来た。現在の安倍政権や自民党執行部の顔ぶれを見ても、小池百合子・首相補佐官は元新進党、高市早苗・沖縄・北方担当相も元新進党、中川秀直幹事長は元新自由クラブの党員だ。
現在自民党が衆議院で、民主党の3倍近い、約300もの圧倒的な議席を占めているのは、国民・有権者の立場で考えれば、2005年の衆議院総選挙で当時の小泉純一郎首相が、身内の郵政民営化法案反対派(造反組)をたたき斬ってでも法案を通したいと国民に訴え、それを国民が評価して投票した結果である。が、安倍はこの「国民の審判」を無視して2006年11月、自民党を離党していた野田聖子元郵政相ら郵政造反組議員を復党させると決めた。理由はもちろん2007年7月の参院選に勝つために、彼らの集票力がほしいからだ(神戸新聞Web版2006年11月28日「『刺客は何だったのか』 郵政造反組、自民復党へ」)。まさに「真剣勝負と見せて船底に穴を空ける」がごとき奇策だ。
どうして、こんな「卑怯な」党を相手にはたし合いをすれば勝てる、などと民主党の若手は考えるのか。根拠があるなら言ってみろ!
彼らは「正々堂々と戦えば勝てる」という確信を抱いているようだが、それはしょせん「根拠のない自信」にすぎまい。
選挙は詭道なり。とくに自民党の選挙は常に詭道なり。
元自民党幹事長の小沢はそれを熟知しているがゆえに、組織票固めや野党共闘のような策を駆使してでも参院選に勝とうとしているのだ。
なぜなら、負けたら、もう民主党は終わりだからだ。「与党」といううまみを味わったことのない党の結束力は元々弱く、選挙に負けてばかりいれば、いずれ分解してしまう。だから、結党から歴史が浅く自民党に比べて地方の党組織が弱いからといって、「その実力差を甘受し、潔く負けを認める」などという考えは小沢にはない。
小沢はいま、いくさをしているのだ。この「小沢の兵法」が通じなければ、それまでだ。若手の代案など聞く必要はない。
小沢批判は負けたあとにすべきだ。
●ほんもののいくさ●
ちなみに、12億超の人口と大陸間弾道弾を持つ経済大国・中国と、2000万そこそこの人口と名前だけの核爆弾しか持たない極貧国・北朝鮮とがはたし合いをすれば前者が勝つに決まっている。が、いくさをするとなると、話が違って来る。
いくさとなれば、それこそ「桶狭間の奇襲戦」もありだ。
来たるべき「中朝戦争」(小誌2007年3月1日「脱北者のウソ〜シリーズ『中朝開戦』(2)」)で北朝鮮がどのようないくさをするかについては(べつにそれをメインテーマとして描いたわけではないが)2007年春発売の拙著、SF『天使の軍隊』で述べたので、そちらをご覧頂きたい(『天使…』は小説であって、基本的に小誌とは関係ないが、この問題は小説でもお読み頂ける)。
【出版社名を間違えて注文された方がおいでのようですが、小誌の筆者、佐々木敏の最新作『天使の軍隊』の出版社は従来のと違いますのでご注意下さい。出版社を知りたい方は → こちらで「ここ」をクリック。】
【尚、この小説の版元(出版社)はいままでの拙著の版元と違って、初版印刷部数は少ないので、早く確実に購入なさりたい方には「桶狭間の奇襲戦」)コーナーのご利用をおすすめ申し上げます。】
【出版社名を間違えて注文された方がおいでのようですが、上記の新作小説の出版社は従来のと違いますのでご注意下さい。出版社を知りたい方は こちらにジャンプして「ここ」をクリックして下さい (この版元は初版部数を少なくする傾向があるので、ご注文はお早めに)。】
【小誌をご購読の大手マスコミの方々のみに申し上げます。この記事の内容に限り「『天使の軍隊』の小説家・佐々木敏によると…」などの説明を付けさえすれば、御紙上、貴番組中で自由に引用して頂いて結構です。ただし、ブログ、その他ホームページやメールマガジンによる無断転載は一切認めません(が、リンクは自由です)。】
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