WBC新ルールの謎

〜2009年WBC〜

Originally written: Feb. 23, 2009(mail版)■WBC新ルールの謎〜週刊アカシックレコード090223■
Second update: Feb. 23, 2009(Web版)
Third update: Feb. 27, 2009(Web版)(誤植校正)

■WBC新ルールの謎〜週刊アカシックレコード090223■
2009年のワールドベースボールクラシック(WBC)のシステムは、2006年のそれと違って、日米に有利なように(両国が決勝で対戦するように)できている。
■WBC新ルールの謎〜2009年WBC■

■WBC新ルールの謎〜2009年WBC■
【小誌2007年4月14日「国連事務総長の謎〜シリーズ『中朝開戦』(4)」は → こちら
【小誌2007年7月3日「『ニセ遺骨』鑑定はニセ?〜シリーズ『日本人拉致被害者情報の隠蔽』(2)」は → こちら
【小誌2007年10月22日「軽蔑しても同盟〜シリーズ『中朝開戦』(11)」は → こちら
【小誌2008年3月6日「中朝山岳国境〜シリーズ『中朝開戦』(13)」は → こちら
【小誌2008年9月8日「福田退陣の謎〜東京地検 vs. 公明党〜福田首相退陣は政界大再編の前兆」は → こちら
【小誌2008年10月1日「公明党の謀叛!?〜連立政権の組み替え?〜『中朝戦争賛成派』が小池百合子新党に集結!?」は → こちら
【小誌2008年11月27日「究極の解決策〜勝手にドル防衛?」は → こちら
【小誌2008年12月1日「人権帝国主義〜シリーズ『究極の解決策』(2)」は → こちら
【小誌2008年12月4日「イラク戦争は成功〜シリーズ『究極の解決策』(3)」は → こちら
【小誌2009年1月8日「70年周期説〜シリーズ『究極の解決策』(4)」は → こちら
【前回「逆ネズミ講〜シリーズ『究極の解決策』(5)」は → こちら

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2009年のワールドベースボールクラシック(WBC)のシステムは、2006年のそれと違って、日米に有利なように(両国が決勝で対戦するように)できている。

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●暴言の謎●
日本のほとんどの野球ファンはご記憶だろう、2008年北京五輪野球で、星野仙一監督率いる日本代表(小誌の呼称では「星野JAPAN 1.1」)が銅メダルも取れずに惨敗したあと、渡辺(渡邉)恒雄・読売新聞グループ本社会長(ナベツネ)が、その星野を2009年のワールドベースボールクラシック(WBC)日本代表監督にも続けて任命しようと考え「星野続投論」を唱えたことを(小誌2008年8月31日「星野続投反対!!〜シリーズ『北京五輪』(4)」)。

星野JAPAN 1.1は、一部週刊誌が指摘するような星野の采配ミスで負けたのではなく、練習試合の質と量の不足で負けた、と筆者は判断しているが(小誌前掲記事)、いずれにせよ、北京五輪で失敗した星野を、WBC日本代表監督として「続投」させ、それでまた日本代表が満足な成績を上げられなかったら、監督を引き受けた星野も、その星野を監督に強く推したナベツネも大恥をかくことは間違いない。

2009年WBCで日本が満足な成績を上げられると決まっているわけでもないのに、2008年9月頃、ナベツネが星野を推す発言をし、それに対して星野がまんざらでもない発言をしていたのを聞いたとき、筆者は、2人とも耄碌(もうろく)してまともな判断ができなくなったのか、と疑った(小誌前掲記事)。

しかし、その後筆者は考え直した。
ほんとうに2人は耄碌したのだろうか。とくに、80代(1926年生まれ)のナベツネよりはるかに若い、60代(1947年生まれ)の星野が、そう簡単に耄碌するだろうか。

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●読売は主催者●
クイズ。
「2009年に開催される第2回WBCの主催者をすべて挙げよ」

米国の野球通ならこう答えるだろう、
「米大リーグ機構(MLB)とMLB選手会である」と。

しかし、実はまだいる。それは、WBC第1ラウンド(R)開催各国の主催者(厳密に言うと興行スポンサー)である。第1Rは東京、メキシコシティ、トロント、サンファンで開催されるため、日本、メキシコ、カナダ、プエルトリコの4か国(地域)は、第2R以降を開催する米国とともに開催国であり、各開催国で興行を仕切る団体は特別な地位にある。日本の場合、それは読売新聞社だ。

つまり、WBCの事実上の主催者はMLB、MLB選手会、および読売など第1R開催各国の団体なのだ。

ちょっとおかしくないだろうか。
米国側の主催者は、MLB、およびその支配下選手の労働組合という「特殊法人」(公益法人?)なのに、日本側の主催者が、日本プロ野球組織(日本野球機構、NPB)ではなくて、読売新聞社などという、株式の上場すらしていない一民間企業だからだ。

読売は2005年以降毎年、日韓台中の国内リーグ優勝チームを集めて行われている「アジアシリーズ」(NPB Web 2008年「アジアシリーズ2008 大会概要」)の主催者(厳密にはスポンサー)の一員であり、同社の幹部は優勝チームなどを表彰する閉会式のプレゼンターとして出て来るので、国際大会の(事実上の)主催者になるのは珍しくない。

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【2005年11月13日、第1回アジアシリーズ閉会式には、読売巨人軍オーナーでもある滝鼻卓雄・読売新聞東京本社会長が登場し、優勝チームの千葉ロッテマリーンズを表彰したため、観客席を埋め尽くしていたロッテファンが「ウソだろ」と言わんばかりにどよめいた。当時、東京ドームで取材中、筆者はこのどよめきを目撃したが、1球団のオーナーがライバル関係にある他球団を表彰するのは、どう考えてもおかしい。】

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しかし、WBCにおけるMLBのパートナーがNPBでなく、新聞社であるという事実に違和感を抱くのは、筆者だけではあるまい。

読売がWBCの事実上の主催者になることができたのは、第1回WBCの開催前、2004〜2005年頃、NPBが大会収益の分配率などで難色を示したため、「野球大国である日本が参加しなければWBCの権威がなくなる」と恐れたMLBがNPBに影響力を持つ黒幕、すなわちナベツネに頭を下げたことにある、などと噂されているが、筆者はまだ確認していない(但し、2005年3月に第1回WBC開催を目論んでいたMLBの計画が、日本の反対でいったん挫折し、第1回が2006年3月まで延期されたのは事実である。読売新聞2004年8月11日付20面「野球再生・大リーグビジネス(5) スーパーW杯構想」)。

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●国際スポーツビジネスの洗礼●
読売は、傘下に日本プロ野球界最大の人気球団、巨人軍(読売ジャイアンツ)を持っていることを背景に、NPBを牛耳って来た。2000年のシドニー五輪野球にプロ野球選手の参加が認められたとき、読売は、そのシドニー五輪野球日本代表チームが巨人を上回る人気チームになることを恐れたのだろう。NPB傘下の球団のうち、とくに読売が影響力を行使しやすいセントラル・リーグの各球団が一流選手を五輪代表に出せないよう、必死になって妨害した。このため、当時プロ・アマ混成の日本代表を率いた大田垣耕造監督(東芝)が熱望した古田敦也捕手(当時ヤクルトスワローズ)の代表入りが実現しなかった(全日本野球会議Web 2000年「オリンピックシドニー大会」)。

しかし、その結果として、日本が五輪野球史上初めてメダルをのがし4位に終わると、読売に世論の非難が殺到し、読売は態度を変える。今後は、五輪などの国際大会の日本代表チームに、読売の息のかかった監督を送り込み、日本代表チームの人気を読売や巨人のために利用しようと考えたのだ。だから、2004年アテネ五輪野球日本代表監督は巨人OBの長嶋茂雄・元巨人監督、2006年WBC日本代表監督も巨人OBの王貞治・福岡ソフトバンクホークス監督(当時)で、どちらの代表チームでも選手は全員プロの一流選手だった。

つまり、2004年から、日本球界は、最高レベルの選手のみで編成された「A代表」を国際大会に送り込むという、サッカーの世界では何十年も前から行われている常識に、ようやくめざめたのだ。

他方、米国球界がめざめるのはもっとあとだ。
2000年シドニー五輪でも、2004年アテネ五輪でも(2008年北京五輪でも)、MLBは(ドーピング検査を恐れて?)メジャーリーガーの一流選手を五輪代表チームに参加させなかった(代表チームは、MLB傘下のマイナーリーグチームの選手のみで構成された)。

このため、MLBにとっては、2006年WBCが、一流選手で代表チームを編成して初めて臨む国際大会だった。
だから、MLBは、米国代表をどのように編成して、どのように戦えばいいか、まるでわかっていなかった。ただテキトーに強そうな選手を集めて代表チームを編成すれば、そこそこ勝てるだろう、と安易に考えていた。
その証拠に、第1R B組の「米国対南アフリカ」戦で、米国代表監督のバック・マルティネスはまったく緊張感のない態度をとった。なんと試合の途中から采配をコーチに任せ、監督自身は米国TV局の実況放送席に上がり込んで、ゲスト解説を始めたのだ(2006年3月14日放送のJSports『WBC米国対韓国』における実況アナウンサー・島村俊治のコメント)。
結果は「17-0」で五回コールド勝ちだったとはいえ、国際大会で指揮官がこんなに油断していては、厳しい短期決戦を勝ち抜けるはずはない。この度を超した油断は選手にも伝染しており、ケン・グリフィーJr.外野手(当時MLBシンシティ・レッズ)などは息子をバットボーイとしてベンチ入りさせ「家族団欒」を楽しんでいた(島村前掲コメント)。「日の丸を背負う重圧」を感じながら北京五輪野球アジア地区予選に臨んだ日本代表(小誌の呼称では「星野JAPAN 1.0」)とは対照的だ。

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【2007年12月1日に台湾の台中インターコンチネンタル球場で開催されたあのアジア地区予選の初戦、星野JAPAN 1.0は格下のフィリピンを相手に「10-0」で七回コールド勝ちしたが、日本のサブロー(大村三郎)外野手(ロッテ)はヒットで出塁した五回裏、油断して牽制球で刺された。試合後、日本の宮本慎也主将(東京ヤクルトスワローズ)はサブローの緊張感のなさを厳しく叱責し、チーム全体を引き締めた。 この「喝」が利いて、翌2日の韓国戦ではサブローは同点打を打つなど活躍し、日本は韓国側の卑怯な「偽装スタメン」作戦に苦しみながらも韓国に勝つことができた(小誌2008年8月31日「●偽装スタメンの背景」、2008年7月8日放送のNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』「チームは、“背中”と“口”で引っ張る プロ野球選手・宮本慎也」)。】

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その後米国は第2R 1組に進んだものの、初戦の日本戦では、塁審が認めた日本の決勝点を、マルティネス監督の抗議を受けたボブ・デービッドソン球審が取り消した「疑惑の判定」のお陰でかろうじて勝ったのを始め、苦戦の連続だった(朝鮮日報日本語版2006年3月13日付「『明らかな誤審』に救われた米国」)。
米国は日本戦に続く韓国戦、メキシコ戦に連敗し、勝率では日本、メキシコと並んで2位になったが、失点率で日本を下回り、結局決勝トーナメント(T)に進めなかった。

米国が国際大会にいかに不慣れだったかを如実に示す証拠は、アレックス・ロドリゲス(A・ロッド)三塁手(MLBニューヨーク・ヤンキース)を米国代表に入れたことだ。
彼は所属球団では四番打者であり、年間40本前後の本塁打を放つ「大砲」(ホームランバッター)で、米国籍を持っているが、親がドミニカ共和国出身であるため、WBCのルールでは同共和国代表として出場することも可能だった。

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【カリブ海には、旧英国領のドミニカ国と、旧スペイン領で野球の盛んなドミニカ共和国とがあるが、ここでいう「ドミニカ」はすべて後者である。】

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マルティネスは、A・ロッドを重要な戦力と考え、米国代表に加えた。しかし、A・ロッドは2006年WBCでは大して活躍できなかった。6試合に「主砲」(打順は四番、おもな守備位置は指名打者、DH)として出場したのに、1本の本塁打も打てず、米国敗退の一因となった。

なぜこんなことになったのかと言えば、米国が国際大会と国内リーグの違いを知らなかったことに尽きる。
日米のプロ野球で年間何十本も本塁打を打つような「大砲」であれば、韓国、メキシコ、キューバの代表チームの投手陣など、自国の基準では二流選手か「一・五流選手」にすぎない選手が多いため、通常はさほど恐れることはない。
そんなレベルの投手が相手チームの先発投手として出て来ても、(1試合に3〜4打席対戦するとして)3試合10打席ぐらい対戦すれば、その間に球筋が読めるようになり、10打数3安打、つまり3割ぐらいの確率でヒットを打つことは十分可能だし、その3本のなかに本塁打が含まれることもありうる。
が、国際大会ではほとんどの場合、同じ投手とは1試合、3打席以下、最悪の場合は1打席しか対戦しない。つまり、球筋が読めるようになる前に、大会は終わってしまうのだ。
このため、一流の打者が二流の投手を打ちあぐねる、などという「番狂わせ」が頻繁に起こる。だから、たいていの国際大会の試合は投手戦になり、大砲が額面どおり本塁打を量産することはほとんどない。

国際大会で勝つには、本塁打は打てなくても出塁率が高く、少ないチャンスを確実に活かせる機動力(盗塁、バント、ヒットエンドラン)を使える選手と、そうやって取った少ない点数を確実に守り切れる投手力と守備力を持つことが、必要かつ十分なのだ。
したがって、日米のプロ野球の1軍(メジャーリーグ)ではほとんど通用しないレベルの二流選手ばかりをそろえた代表チームでも、事前の合宿や練習試合や、国際審判(のストライクゾーン)への対策がきちんとできていれば、一流選手をそろえた強豪国の代表チームに勝つことができる(その典型が、2006年WBCで米国に勝ち、2008年北京五輪本大会で優勝した韓国)。
2006年WBCでは、A・ロッドは守備力に問題があってDHにまわされ、機動力もあまり使えず、韓国戦やメキシコ戦の勝負どころではほとんど打てなかった。つまり、いちばん国際試合に向かないタイプの選手だったのだ。

そのA・ロッドが、2009年WBC代表候補選手のリストにもはいっている…………但し、こんどは米国代表ではなくドミニカ代表の候補だ。
つまり、前回A・ロッドを主砲として必要としていた米国は、こんどは一転して「要らない」と言った(米国代表にはいれと説得せず、本人の意志に任せた?)のだ。

この米国の豹変ぶりに、「いい意味でも悪い意味でも、米国は国際スポーツビジネスとしての野球にめざめたのだ」と筆者は感じた。

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●めざめた米国●
「いい意味」とは、米国が国際大会の正しい戦い方を悟ったという意味だ。
2006年の失敗に懲りた米国は、2009年WBC米国代表監督には、デーブ(デービッド)・ジョンソンを選んだ。彼は、2004年アテネ五輪野球ではオランダ代表監督、2008年北京五輪野球では米国代表監督を務めており、国際大会の経験が豊富だ。五輪を知る彼なら、間違っても国際試合の最中に放送席に上がり込んだりはしない。

「悪い意味」とは、「国際大会の成績は、実力だけでは決まらない」という、国際サッカービジネス関係者のあいだでは周知の事実に、ようやくMLBの米国人経営者たちも気付いた、という意味だ。

たとえば、2002年ワールドカップ(W杯)サッカー本大会で韓国がベスト4にはいれたのは、実力によるのではなく、韓国有利の「誤審」が相次いだお陰である(最初の誤審が生まれる「韓国対ポルトガル」戦の前日、2002年6月13日に配信された小誌の予測記事「●いまこそ『奥の手』を〜審判に『期待』」を参照)。
また、W杯などの国際大会で出場チームの成績を左右する、一次(予選)リーグ(L)の組分け抽選が厳正に、公正中立に行われていないことは、過去のW杯や五輪の本大会や地区予選を見ればわかる(小誌2002年5月28日「組分け抽選の不正」を参照)。

国際大会で好成績を上げるには、自国を強くするだけでは不十分だ。ライバル国を不利な状況に置き、あるいは弱くする必要があるのだ。米国は2006年WBCでは、デービッドソンに頼んで急遽「誤審」をしてもらって日本戦に勝ちはしたが、その程度の場当たり的な策では、韓国やキューバのように国家的威信を賭けて準備して来る国には到底勝てない。

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●ドミニカ潰し?●
WBCはMLBのシーズン開幕直前の3月に開催される。このため、WBCに出場するメジャーリーガーの選手は、その間、所属チームのキャンプやオープン戦に参加できなくなる。これは、シーズンに臨むうえで明らかにマイナスだ。

そこで、各国の代表候補選手に選ばれてもWBCへの出場を辞退する選手が出て来る。
たとえば、2009年WBC日本代表一次登録メンバーの候補に選ばれていた斎藤隆投手がそうだ。彼は、2008年までMLBナショナル・リーグのロサンゼルス・ドジャースに所属していたが、2009年にはいってから、MLBアメリカン・リーグのボストン・レッドソックスに移籍することが決まった。
移籍すると、監督も投手コーチも捕手も変わるから、斎藤は時間をかけて彼らとコミュニケーションをとって、チームの方針を確認したほうがいい。とくに、いままでほとんど対戦したことのないア・リーグの打者の攻略法を、斎藤はコーチや捕手と一緒に時間をかけて研究しなければなるまい。
このため、斎藤は、レッドソックス球団幹部と話し合った末に日本代表を辞退することに決める(読売新聞Web版2009年1月14日「レッドソックス・斎藤隆、WBC辞退」)。

これは、ある意味で当然のことだ。斎藤の所得の大部分は所属球団から支払われる年俸であって、WBCのギャラや賞金ではないからだ。だから、球団幹部も、移籍1年目の斎藤を十分活躍させてあげたいという気持ちから、WBC出場辞退をすすめだろう。

しかし、すべてそうなのだろうか。
WBCの各国代表候補に選ばれながら(あるいは、代表レベルの実力を持ちながら候補に選ばれる前に)出場辞退を決めたメジャーリーガーのすべてが、自分自身や所属球団のためだけに辞退して(辞退させられて)いるのだろうか。

MLBには30球団あるが、そのうち29球団の本拠地は米国にある。したがって当然、球団オーナーの大半は米国人であり、彼らは米国に対して愛国心を持っている。彼らオーナー、あるいはその意を受けたゼネラルマネージャー(GM)が、WBCで米国を優勝させるため、という「悪意」に基づいて、自分の球団に所属する、米国のライバルになりそうな強豪国出身の選手に、WBCに出るべきでないという「助言」を与えることは可能だ。

そういう被害を受けた疑いがもっとも濃厚な国が、ドミニカだ。
2009年1月に発表されたドミニカ代表一次候補選手のリストには、MLBで年間30本前後かそれ以上の本塁打を毎年打っている大砲がずらっと並んだ:

アレックス・ロドリゲス(A・ロッド)三塁手(ヤンキース)
デービッド・オルティーズ一塁手(DH)(レッドソックス)
アルフォンソ・ソリアーノ外野手(MLBシカゴ・カブス)
ハンリー・ラミレス遊撃手(MLBフロリダ・マーリンズ)
アラミス・ラミレス三塁手(カブス)

ミゲル・テハダ遊撃手(MLBヒューストン・アストロズ)
ホセ・レイエス遊撃手兼二塁手(MLBニューヨーク・メッツ)
カルロス・ペーニャ一塁手(MLBタンパベイ・レイズ)
エイドリアン・ベルトレ三塁手(MLBシアトル・マリナーズ)

アルバート・プホルス一塁手(MLBセントルイス・カージナルス)
ヴラジミール・ゲレロ外野手(MLBロサンゼルス・エンゼルス)

しかし、このうち最後の2人は故障持ち、最初の5人は守備がうまくないことで定評のある選手だ。オルティーズは、レッドソックスを2008年のプレーオフ出場に導いた「主砲」だが、近年シーズン中はDHばかりでほとんど守備をしていないので、1つしかないDHのポジションは彼が取るだろう。そうすると、どうしても守備のうまくない5人のうちのだれかが守備に就くことになる。しかし、ソリアーノは二塁手としての守備がへたくそすぎて外野手にコンバートされた選手で、元々どこを守っても守備はうまくないし、ハンリー・ラミレスは毎年30本前後の本塁打を打つものの、それと同じぐらいの数のエラー(失策)をする。

国際大会は短期決戦なので、勝負どころでのエラーが大きく影響する。その重大性は、2008年北京五輪野球決勝Tで失策を繰り返したG・G佐藤外野手(埼玉西武ライオンズ)を思い出せば十分だろう。彼のエラーも一因となって、日本はメダルをのがしたのだから。

それでいて、このドミニカのリストには、MLBで最多勝や最優秀防御率のタイトルを争うような好投手がほとんどはいっていない。米スポーツ専門TV局ESPNは、2009年1月時点における各国の代表候補選手を分析し、日本の投手力を最高、ドミニカの投手力を最低に近いと評価した(all about 2009年1月26日「瀬戸口仁:ドミニカ強烈…WBC一次登録メンバー徹底分析」)。

どうもドミニカは(米国人オーナーたちの陰謀によって?)国際大会に必要な好投手や守備のうまい野手などを奪われ、代わりに守備の下手な大砲を集中的に押し付けられたように見えるのだ。

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【ちなみに、2008年北京五輪野球韓国代表の四番打者で、五輪本大会準決勝の日本戦で決勝本塁打を放ったイ・スンヨプ(李承ヨプ)一塁手(巨人)は、2009年WBCの出場を辞退する意向を表明している(毎日新聞Web版2008年11月10日「巨人:イ・スンヨプがWBC辞退の意向」)。この発言が、純粋の本人の意志によるものなのか、それとも、だれかの差し金なのかは不明だが、これによって2009年WBC韓国代表が弱くなったことは間違いない(中央日報日本語版2008年12月27日付「WBC 金寅植監督『李承ヨプ・朴賛浩を最後まで待つ』」)。】

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【李承ヨプが辞退したため、2009年WBC韓国代表チームで数少ない「海外組」の中心選手になりそうなチュ・シンス(秋信守)外野手(MLBクリーブランド・インディアンズ)にはチームリーダーとしての役割が期待されている。彼はMLBで2008年シーズン「打率.309、14本塁打、66打点」と活躍したので、当然だ。しかし、インディアンズ球団は彼のWBC出場について「韓国代表チームの合宿に参加しない(チーム合流は3月1日の東京入り後)」「外野手としてプレーできるのは(各ラウンド)1試合だけ」という条件を付けた(朝鮮日報日本語版2009年2月4日付「祖国もチームもあきらめられない(下)」)。
いくらなんでもこれはやりすぎだろう。これは、インディアンズ球団が韓国代表監督の采配に介入した、ということだ(前者の条件は最終的に秋信守が拒否し、彼は合宿に参加した)。
第1R A組は東京ドームで行われるので、外野手が堅い人工芝の上でダイビングキャッチをして怪我をしたら、球団としては困る。だから、第1Rで外野守備に制限を付けるのはわからないでもない。しかし、サンディエゴの天然芝球場で行われる第2Rでも「外野守備は1試合だけ」というのは、球団側の要求として異常だ。日本代表候補のイチロー外野手が所属するマリナーズからなんの条件も付けられていないことと比較して考えれば、秋信守の起用法に課されたこの異様な制約は「日米が結託して韓国を弱くしようとした結果」と考えても、あながち邪推とは言えまい。】

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約1000人いるメジャーリーガーのうち、ドミニカ出身者は100人以上で、しかも一流選手が多いことは米国の野球通にはよく知られている。だから、ドミニカ代表が必要な人選と準備をして臨めば、日米を倒して優勝する可能性はおおいにある。

しかし、ドミニカは貧しい国だ。もしそんな国が準決勝で米国を退けて決勝に進出してしまったら、どうなるか。
米国民は決勝戦に関心を失い、TV視聴率は低迷し、関連グッズや入場券の売り上げも伸びず、大会が盛り上がらないことは確実だ。

米国にとってもっとも望ましいのは、日米の2大経済大国が決勝で対決することだ。そうすれば、WBCは……いきなり「W杯サッカー並み」とまでは行かないにしても……国際スポーツビジネス界の堂々たる一角を担う存在になろう。

だからこそ、(事実上の)主催者には日米の団体や企業がはいっているのだ。これは「日米の日米による日米のための大会」であり、両国の「野望」のためには、ドミニカなど、日米以外の強豪国は早めに敗退してもらう必要がある。その日米の意図は、2009年大会から適用されるルール改正を見ると、もっとよくわかる。

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●日韓対決を回避?●
2006年の第1回WBCの第1R、第2Rは、4チーム総当たりのリーグ戦形式で行われた。しかし、2009年の第2回大会ではリーグ戦形式は廃止され、ダブルエリミネーション(DE)方式という摩訶不思議なルールが導入される。

新ルールのもとでは「2回負けたチームは敗退」となる。
たとえば、第1R A組では、一回戦として「日本対中国」「韓国対台湾」のカードが組まれているが、この初戦でそれぞれ、日本、台湾が勝ったと仮定しよう。
そうなると、次は勝った者同士、負けた者同士が戦うので、二回戦は「日本対台湾」「中国対韓国」となる。この第2戦で日本が台湾に勝つと、その瞬間に日本の第2R進出が決まる。
他方、二回戦の「中国対韓国」で韓国が勝つと、その時点で中国は2敗になるので、第2Rに進めないことが確定する。
この条件で二回戦が終わると、台湾と韓国はともに1勝1敗になって並んでいるので、この両者が片方をたたき落とすために「準決勝」のようなものを戦う(五輪ソフトボール本大会の言い方で言えば、負けたほうが3位になるという意味での「3位決定戦」である)。
ここで、台湾が勝つとその時点で韓国は2敗になるので、中国に続いて韓国の敗退が決まり、逆に、台湾の第2R進出が決まる(第2R 1組は、東京からA組の、メキシコシティからB組の、それぞれ上位2チームずつを米国サンディエゴのペトコパーク球場に迎えて米国時間3月15日から開催される)。
準決勝に勝った台湾は、第1Rの最終順位を決めるため、勝ち残りの日本と対戦し、勝てば1位、負ければ2位となる(第2RもDEだが、1位通過なら、たぶん第2R一回戦の相手はB組2位のメキシコ、2位通過ならB組1位のキューバになる可能性が高い)。

DE方式は要するに勝ち抜き戦なので、一回戦以外は、自分の応援したいチームがいつどの試合に出るかわからない。したがって、開催都市の野球ファンにとっては、非常に不便であり、観客動員のうえではマイナスになりかねない。

それにもかかわらず、2009年WBCから、第1Rのみならず第2RでもDE方式が採用されたのは、日米が決勝戦に進出するうえで邪魔なA組の韓国、B組のキューバ、C組(米国と同組)のベネズエラ、D組のドミニカ、プエルトリコなどを、文句の出ない形で「始末」するためではあるまいか。

もしも第1Rがリーグ戦方式なら、日韓は必ず一度は対戦し、その勝敗が両国が第2Rに進めるか進めないかを決める恐れがある。そうなったとき、読売は、2006年WBC第2Rの「日本対米国」戦で、米国がやったように、審判に「誤審」をしてもらって日本を勝たせる、という手段を使うこともできる。
しかし、そんなことをすれば、「主催者の読売が審判を抱き込んだ!」という非難が韓国全土で燃え盛り、2006年から韓国内で高視聴率を稼いでいる巨人戦のTV中継放送に対して「ボイコット」の動きが起きるかもしれない。最悪の場合は、日韓間の外交問題にすらなりかねない。

その点、DE方式を使うと、日本が手を汚さずに韓国を敗退させることが可能になる。おそらく組み合わせ抽選を操作した結果だろうが、すでに日本が一回戦で韓国と対戦しないことは決まっている。他方、韓国は、意外に台湾や中国に弱い。
韓国人は「打倒日本」となると異常な執念を燃やし、驚異的な力を発揮するが、相手が台湾だとそれほど燃えないようで、2004年アテネ五輪野球アジア地区予選、2006年ドーハ・アジア大会野球では韓国は台湾に負けているし、「A代表」ではなく各国の国内チャンピオン同士が争うアジアシリーズでも、2008年、韓国代表のSKワイバーンズは(日本代表の西武には勝ったのに)台湾代表の統一ライオンズに敗れて、決勝進出をのがしている(中央日報日本語版2006年11月30日付「アジア大会 韓国野球、台湾に2-4で敗れる」、スポーツナビ2008年11月15日「SKに突きつけられた重い課題 プロ野球アジアシリーズ・リポート」)。

筆者がWBC(第1R A組)の主催者なら、「韓国対台湾」戦の主審は中国人に担当させる。中国は韓国と台湾に対して「中立国」であるうえ、審判の技術レベルが低く、相当にジャッジが不安定なので、「誤審」があってもだれも驚かないからだ。じっさい、2008年アジアシリーズでは、中国人の審判が相当にヘンな判定をし、結果的に日本が優勝したが、そのことで日本はなんの非難も受けていない。

韓国は中国にも弱い。北京五輪本大会の一次Lで、韓国は「格下」であるはずの中国に大苦戦し、延長十一回サヨナラの「1-0」(タイブレーク方式)で辛勝している。 だから韓国は、2009年WBC第1Rで、台湾、中国に連敗して、たった2試合で敗退してしまう可能性も十分にある。

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●日米で譲り合い?●
日米主催当局が同じような「陰謀」を各ラウンドの各組で行えば、経済力の乏しい強豪国は次々に敗退し、決勝戦で夢の日米対決が実現し、日米4億人以上の国民が盛り上がる、ということになろう。

決勝戦が日米対決になった場合、興行的にはもうどっちが勝っても問題はない。
が、2006年の第1回大会ですでに日本が優勝しているので、今回、第2回大会では米国が優勝する(ことになっている)のではあるまいか。そのほうが丸く収まるだろう(第3回大会の決勝が日米対決になった場合は、文句なしの真剣勝負になるだろう)。

前回、2006年WBCでは、日本の属する第1R A組の勝者(上位2チーム)と米国の属する第1R B組の勝者は第2R 1組で合流し、そこで日米対決が実現した。
今回、2009年WBCでは、日本の属する第1R A組の勝者と米国の属する第1R C組の勝者は第2Rでは合流せず、決勝Tまで日米対決はありえない。
これは「前回は主催者側の工作能力が十分でなく、いちばん視聴率の取れる日米対決を決勝Tで実現させる自信がなかったので、より確実に実現できる第2Rで実現させたが、今回は主催者側が工作能力に自信を持っているので、両国を決勝Tで戦わせるため、第2Rでの対決を避けた」と解釈できる。

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●キューバ潰し?●
WBC参加国のうち、米国にとっていちばん嫌いな国は反米革命で建国された社会主義国家のキューバであり、その次に嫌いな国はウゴ・チャベス大統領の就任以来、政府が反米的な言動を繰り返しているベネズエラだろう。

2006年WBCでは、第2Rが終わった時点で、準決勝の組み合わせは「日本対韓国」「キューバ対ドミニカ」に決まった。米国としては何がなんでもキューバの優勝だけは阻止したいが、もしもキューバがドミニカに勝つと、残る「歯止め」は「『日本対韓国』戦の勝者」だけになってしまう。

しかし、当時の韓国は歯止めにはなりえない。各種の国際大会で韓国はキューバに勝ったことがほとんどなかったからだ。
他方、日本とキューバの、2004年アテネ五輪野球と2006年WBCにおける代表選手のリストを見比べると、WBCで日本側にイチローら2人のメジャーリーガーが加わった以外は、松坂大輔投手(当時西武、現レッドソックス)、小笠原道大(みちひろ)一塁手(当時北海道日本ハムファイターズ、現巨人)、ビチョアンドリ・オデリン投手、アリエル・ペスタノ捕手ら、主力選手の顔ぶれは両国ともあまり変わっていない。そして、アテネ五輪では日本はキューバ(先発投手はオデリン)に勝っている。
とすれば、キューバの優勝を阻止するには、決勝に韓国が出るより日本が出たほうがいいのは間違いない。

米国時間2006年3月17日、「日本対韓国」の準決勝の前日、WBC主催当局は突如として、韓国代表のパク・ミョンファン(朴明桓)投手(主力選手でない右投手)がドーピング検査で陽性反応を示したと発表し、制裁措置として彼を大会から追放した(朝鮮日報日本語版2006年3月18日付「朴明桓投手、ドーピングテストで陽性」、サンスポWeb版2006年3月19日「ライバル韓国に衝撃!中国戦好投の中継ぎ・朴明桓が薬物失格」)。

たちまち韓国代表チームはパニック状態に陥ったに違いない。この大会ではそれまでドーピング違反者の摘発は1人もなかった(その後も1人もなかった)からだ。
が、もっとも不思議だったことは、この制裁措置を受けて、韓国代表のキム・インシク(金寅植)監督が「左のリリーフの切り札」の投入をやめてしまったことだ。

この大会ではしばしば、金寅植は終盤になると元メジャーリーガーの某左投手を救援投手として登板させ、彼は「左対左」の有利を活かして相手の左打者を抑えて勝っていた。
ところが、この準決勝の日韓戦では「0-0」で迎えた七回表、日本の攻撃、一死二塁の場面で日本が左の代打、福留孝介(当時中日ドラゴンズ、現カブス)を打席に送ったのに、なぜか「左対左」の有利を活かせる例の切り札が登板することはなく、逆に左打者に不利とされる右サイドスロー(横手投げ)の投手、キム・ビョンヒョン(金炳賢)が続投した。

待ってました、とばかりに福留は金炳賢から決勝2点本塁打を放ち、その後も日本打線が韓国の投手陣をメッタ打ちにして、日本は「6-0」で韓国に大勝して決勝に進出した。

決勝に進出した日本は米国時間3月20日、キューバと対戦。
一回表の日本の攻撃では、キューバの先発投手オルマリ・ロメロはまるで初めて手にする種類のボールを投げたかのようにストライクがはいらなくなり(あるいは、球審に不当にストライクを取ってもらえず)四死球を連発して日本に4点を献上し、結局「10-6」で日本が勝ち、米国がもっとも嫌うキューバの優勝は回避された。

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【ちなみに、この決勝では、第2Rの日米戦で日本に不利な「誤審」をしたボブ・デービッドソンが一塁塁審を務めていたが、決勝では日本に不利な誤審は一切しなかった。また、2006年WBC韓国代表監督の金寅植は、2009年WBCでも韓国代表監督を務める。】

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証拠はないが、次のような推測が成り立つ:
「2006年WBC韓国代表で救援投手として活躍した上記の左投手は、2005年かそれ以前、MLB在籍中の検査、あるいは2006年WBC期間中のドーピング検査で陽性反応が出ていた。
彼は、この大会の第1Rの台湾戦と日本戦の重要な場面で登板しているので、彼をドーピング規定違反で失格にすると、第1R全体の結果が無効になってしまう。
そこで、2006年WBC主催当局は、韓国代表チームにプレッシャーをかけるために、あまり重要な試合に登板していなかった朴明桓のみを差別的に摘発して警告を発した。そして、もしも『準決勝の日本戦で例の左投手を登板させたら、試合後にその投手にドーピング検査を受けさせるか、または、その投手の過去の検査結果を暴露する』という示唆または警告を韓国代表チームに与えた。
そのため、代打福留が登場しても、韓国ベンチは効果的な投手リレーができなかった」

名誉毀損になるといけないので、断言はできない。
が、2006年3月、MLBはジョージ・ミッチェル元米上院院内総務(バラク・オバマ現米大統領の中東和平問題担当特使)に傘下選手たちの、ステロイドと成長ホルモンを使ったドーピングの実態調査を依頼しており、2007年12月に発表されたその報告書『ミッチェル・リポート』では、ロジャー・クレメンス投手(元レッドソックス)ら多数の(元)メジャーリーガーがドーピング違反者としてリストアップされている(Number Web 2008年1月17日「NUMBER EYES『ミッチェル・リポート』深すぎる薬物汚染の闇」)。
それなのに、「2006年WBC大会全体を通じて、ドーピング違反者は朴明桓1人だけ」などということがあるわけはない。

国際野球連盟(IBAF)の管理下で2006年WBCのドーピング検査を実施した世界反ドーピング機関(WADA)は、競技外で選手を抜き打ち検査するためのWADAとIBAFの合意が2005年12月で失効しており、かつ、2006年WBC終了後まで更新されなかった点などを指摘し、WBC主催当局を批判した(朝日新聞Web版2006年4月5日「反ドーピング機関、WBC批判声明 『検査不十分』」)。
朴明桓に対するドーピング摘発は当時、韓国のマスメディアでは「なぜこの時機なのか」と、米国の陰謀を示唆するような論調で報じられた(サンスポ前掲記事)。
2006年WBCの韓国代表とキューバ代表は、主催当局によるドーピング摘発の仕方(と審判の人選)が一因となって日本に負けた可能性を排除できない。

さて、2006年WBCでこのような主催当局の陰謀があったと仮定した場合、2009年WBCでも、主催当局は同じテを使って韓国やキューバを敗退させるか…………というと、そういうことはないだろう。
なぜなら、2009年WBCの韓国とキューバの代表選手の大半は、昨2008年の北京五輪の地区予選や本大会を経験し、その時点で国際オリンピック委員会(IOC)の定める、WBCよりはるかに厳しいドーピング検査の関門をくぐっているからだ。いまさら両国の選手にドーピング検査を行ったところで、違反者を摘発することはできまい。
したがって、2006年に陰謀があったかどうかはさておき、2009年にドーピング検査を恣意的に用いて両国の勝敗を操作するという策はそう簡単にはできないはずだ。

となると、2009年WBCで主催当局が、大会開始後に、両国の試合結果を操作するために用いることのできるおもな手段は……じっさいにそれが必ず用いられると断言はしないが……審判だろう。

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●もう1つのドミニカ潰し?●
但し、北京五輪に一流選手を送らなかった2009年WBC参加国、たとえば、ドミニカ、ベネズエラ、パナマ、プエルトリコなどに対しては、これらの諸国が日米に勝ちそうになったときに、ドーピング摘発を恣意的に行って圧力をかけ(2006年WBCにおける韓国のように)敗退させる、という手法は有効だろう。

とくに、2003年に受けたドーピング検査で、筋肉増強剤の使用が判明していたと米『スポーツ・イラストレイテッド』誌に報道されているA・ロッドがドミニカ代表候補にはいっていることを考えれば、たとえば2009年WBC準決勝のカードが「米国対ドミニカ」になった場合、MLB当局がその前日にA・ロッドらドミニカ代表選手を抜き打ち検査して摘発し、ドミニカを敗退させる可能性はおおいにある(朝日新聞Web版2009年2月8日「A・ロッド内野手に薬物疑惑報道 米誌」)。

実は『ミッチェル・リポート』は主として、元メッツ職員カーク・ラドムスキーによる薬剤供給ルートをたどった調査結果をまとめたものなので、ほかのルートについての調査結果はない(Number Web 前掲記事)。
メジャーリーガーのあいだでは、「ドミニカ共和国ルート」などほかにも多様な供給源があると噂さており(Number Web 前掲記事)、噂がほんとうなら、2009年の米国代表(ジョンソン監督)が2006年の米国代表(マルティネス監督)と違ってA・ロッドを招聘しなかったのは、彼を始めとするドミニカ選手たちのドーピングの真実をすでにつかんでいるからかもしれない。

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【米国時間2009年2月10日、ドミニカ代表候補のミゲル・テハダは、元チームメイトのドーピング薬物使用に関して2005年、米議会下院で偽証した容疑でワシントン連邦地裁に起訴された。容疑事実にはテハダ自身の薬物使用は含まれないが、彼は『ミッチェル・リポート』で薬物購入者として名前が挙がっていた(時事通信2009年2月11日付「テハダが偽証罪に問われる 薬物関係捜査、司法取り引きか - 米大リーグ」、仏AFP Web 2009年2月11日「テハダ 偽証罪で起訴」)。】

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2009年WBC米国代表の選手選考では、先発投手やクローザー(抑えのエース)、四番打者の候補としてリストアップされた大物選手が次々に「シーズンに備えたいから」などの理由で辞退を表明しているため、ジョンソン監督は頭を抱えていると報道されている(all about 2008年12月22日「瀬戸口仁:喜ぶべきか…原ジャパンに強烈な追い風」)。
しかし、彼らが代表を辞退しているのは、実は「ドーピング検査がこわいから」かもしれないし、WBC主催当局の意向を受けた各球団の幹部が「WBCに出たら検査があるぞ」と脅かしたからかもしれない。ウラを返せば、MLBの米国人オーナーたちも(米連邦議会などからの突き上げが激しいので)「少なくとも国際大会であるWBCではドーピング検査は厳正にやる」(米国内のMLB公式戦でも、不十分ながらもそれなりにやる)と決断した可能性はかなり高い。

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【とすれば、アテネ五輪野球、北京五輪野球の地区予選、本大会に多数の一流選手を送り出してIOC基準のドーピング検査を受けさせた日本は、薬物に汚染された選手が米国より圧倒的に少ないと推定されるので、日本がWBCの決勝で米国と対戦した場合、米国側の思惑に反して勝つ確率はかなりある。】

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検査がこわくて米国代表を辞退した選手が大勢いるなら、それは、MLBが2009年WBCで米国を勝たせ、ドミニカなどを負けさせるために、ドーピング検査という「オフサイドトラップ」を仕組んでいる可能性がある、ということになる。

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●使用球の罠●
硬式野球の試合で使うボールは世界各国のさまざなメーカー(工場)で、さまざまな方法で生産されているため、たとえ「円周何ミリ、重さ何グラム」などと規格が同じでも、微妙に大きさや重さが違う(ルール上は日米ともに円周229〜235mm、重量141.7〜148.8g)。プロ野球の一流投手は指先の微妙な感触に基づく繊細なボールコントロールを駆使して打者を討ち取るので、1グラム違えば大きな影響を受ける(NPB使用球は145g、MLB、WBC使用球は146g)。だから、重要な試合で使用するボールは本番の何週間も前から手でさわって感触を確かめておく必要がある(読売新聞Web版2009年2月7日「どんな風に違う? WBC公式球と国内のボール」)。

北京五輪本大会は野球後進国の中国で開催されたため、中国は中国と同じ社会主義国家であるキューバに、五輪本大会野球競技の運営について助言を求めた。たとえば、大会開催中、野球競技のTV中継放送におけるカメラの切り替えを指示したのは、野球の盛んなキューバから来たアドバイザーだった(2008年8月放送のNHK『北京五輪野球中継』における実況アナウンサーのコメント)。

こういう事情なので、中国の主催当局は五輪本大会で使う公式ボール(五輪使用球)の選択もキューバ人の助言に従った。このため、北京五輪本大会ではキューバと韓国が異常に有利になった。
なぜなら、キューバ代表チームは五輪本大会直前の約3週間、韓国で合宿し、韓国のプロ野球チームや韓国代表チームと行った練習試合で、そのキューバ人好み(キューバ製?)のボールを使ったからだ(『FLASH』2008年12月16日号 p.p 18-19「星野仙一『ノムさん、落合、張本』の悪口三昧60分 - 『闘将』の見苦しい本音」)。
他方、星野JAPAN 1.1は、北京五輪本大会直前、初戦(対キューバ戦)の2日前、2008年8月11日までそのボールにさわれなかった。しかも、各国代表チームに支給されたのはそれぞれたった24個で、なくしても補充は一切なし、という条件だった(デイリースポーツWeb版2008年8月12日「星野ジャパンに不安…五輪球デカっ重っ」『FLASH』前掲記事)。

物資の乏しい貧困国キューバでは、国を代表する野球選手でも少ないボールを大切に使って練習するのが普通なのだろうが、日本のプロ野球選手はいつも何百個もの公式ボールをぜいたくに使って練習している。だから、24個しかないとなると、指先に投球の感触をなじませたい投手陣だけでなく、野手もどうやって練習していいかわからないぐらい困ってしまった(デイリースポーツ前掲記事)。
2008年8月13日のキューバ戦で、日本の先発投手のダルビッシュ有(日本ハム)がコントロールを乱して打ち込まれたのは、五輪使用球を使った練習、とくに練習試合を事前に十分にしていなかったからであって、本人のせいではない。

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【北京五輪本大会では、日本代表と同じく米国代表も、2008年8月7日に北京入りするまで五輪使用球にさわっておらず、それを使った対外練習試合も本番前には一切していない。このためか、8月13日の初戦、韓国戦では、米国投手陣はコントールを乱し、乱打線の末、米国は韓国に敗れた。】

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●韓国はずし?●
2009年WBCにおいては、使用球の問題をめぐって日韓の立場が、北京五輪のときとは逆になるかもしれない。

WBC第1RのB組、C組、D組はいずれも北米(かそれに近いプエルトリコ)で開催されるため、この3組の参加各国代表チームは時差ボケを直す意味もあって早めに北米(周辺)に集結し、そこで合宿や練習試合を行うはずだ。もちろんA組は会場が東京ドームなので、練習環境の整った日本に、参加各国が集まって来る。

但し、オーストラリア(豪州)は例外である。豪州代表はメキシコシティで開催される第1R B組に属するが、北米に行く途中日本に立ち寄って、2009年2月24〜25日に、日本代表(サムライJAPAN)と2試合の対外練習試合(壮行試合、強化試合)をすることになっている(NPB Web 2009年「2009 WORLD BASEBALL CLASSIC 日本代表チーム 主なスケジュール」)。
日本は第1Rの開催国なので、WBC使用球の調達は容易なはずで、したがってこの豪州戦2試合では当然、その使用球が使われるはずだ(しかも国際試合なので、審判の半分は当然、外国人の国際審判ということになり、日本代表はその判定に慣れることもできる)。
おそらく豪州代表は時差ボケを直したいので、日本での試合はこの2試合だけにしてさっさと北米に移動し、現地で次の練習試合に臨むだろう。

サムライJAPANがWBC開催前に外国のA代表と行う強化試合(壮行試合)はこの2試合だけだ。あとは、2月28日〜3月1日に、西武、巨人との練習試合を行って最終調整をし、3月5日からのWBC本番に臨む。
そうすると、韓国代表はたとえ日本で合宿をしても、練習試合の相手に困ることになる。台湾代表や中国代表と練習試合をするテもないわけではないが、台湾、中国にしてみれば、数日後に本番で戦う相手にわざわざ自分の手の内を見せるのは損なので、韓国との練習試合に応じるとは思えない(とくに、台湾人はこのように考える傾向が強く、2008年3月に台湾、韓国など世界8か国が参加して台湾で開催された北京五輪野球世界最終予選の前、台湾入りした韓国代表が練習試合を申し込んだ際にも、台湾代表はその申し出を断っている。朝鮮日報日本語版2008年2月25日付「北京五輪野球:台湾、韓国との練習試合を拒否」)。

豪州、日本、台湾、中国のA代表と対戦できないとすると、韓国代表にとって望みうるある程度強い相手は、日本各地でキャンプ中の日本のプロ野球チームしかない。弱い相手、たとえば代表選手を除く「韓国プロ野球選抜」などと戦っても、(韓国球界は選手層が薄く、代表候補選手以外はレベルが低いので)弱すぎて練習にならないからだ。
このことは、W杯サッカー地区予選に臨む日本代表の壮行試合(強化試合)の相手が常に外国のA代表であることを想起すれば、容易に理解できよう(たとえば、ふだん同じチームでプレーしていない韓国代表の二塁手と遊撃手がダブルプレーの実戦テストをしようとしても、相手が弱すぎて一塁走者を出せなければ、テストできない)。 ところが、サムライJAPANの合宿が始まる2009年2月15日以降は、日本プロ野球の球団でキャンプ中の選手たちは全員WBCに出ない選手ばかりなので、各球団はWBC使用球を使う必要はない。したがって、韓国代表チームは日本のプロ野球チームと練習試合をやっても、WBC使用球を使って実戦経験を積むことができない恐れがある。

どうやら韓国は事前にこのことに気付いたようで、2009年WBC韓国代表を2月16〜28日、ハワイに送り込んで合宿させることにした。場所が米国内のハワイならMLBで使われているWBC使用球(米ローリングス社製)もいくらでも手にはいるし、それを使って地元のアマチュアチームなどを相手に(相手が弱すぎて不十分ながらも)練習試合ができる。

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【MLB30球団のすべてとマイナーリーグチームの大半は2〜3月には北米でキャンプ、オープン戦を行う。だから、韓国代表チームもいっそのこと北米で合宿すれば練習試合の相手には困らないが、北米から第1R A組開催地の東京に移動すると、本番直前に時差ボケになってしまうので、移動距離すなわち時差が比較的短くて済むハワイを選んだのだろう。】

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【2009年2月28日〜3月3日、巨人と西武は東京ドームで、A組の4か国の代表と1試合ずつ、練習試合の相手を務めることになっている。韓国代表は3月2日に西武、3日に巨人と(おそらくWBC使用球を使って)試合をする。しかし、野球の場合、この種の練習試合が2試合では足りないことは、星野JAPAN 1.1の北京五輪本大会での結果を見れば明らかだ。星野JAPAN 1.1の稲葉篤紀外野手(日本ハム)は事前にそう言っていた(小誌2008年8月31日「●3当2落」、日刊ゲンダイWeb版2008年8月6日「●ぶっつけ本番に選手の戸惑い」)。】

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●興行的成功を保証?●
2009年WBCの開催国は5つあり、それは、第1Rの開催国(地域)4か国と、第2R以降の開催国、米国だ。
1998年長野五輪におけるノルディックスキー・ジャンプ(個人、団体)における「日の丸飛行隊」の優勝を思い出せば明らかなように、スポーツの国際大会は、地元つまり開催国の選手が活躍すれば盛り上がる。逆に、日本勢のメダルが銅メダル1個だけに終わった2007年世界陸上競技選手権・大阪大会のように地元勢が成績不振だと、興行的にも悲惨な結果に終わり、そういう大会があったことすら地元の人々の記憶に残らない。

2009年現在、MLBの球団本拠地になっている球場の大半は天然芝球場で、かつ、外野フェンスの形が左右均等でなく、いびつである。なかにはフェンスの壁面が複雑に切れ込んでいるものまである。これは、いつも本拠地でプレーしているホーム(地元)チームの外野手にとっては、慣れているので、なんでもないが、たまにしかその球場に来ないビジターチームの外野手にとっては、フェンスに当たった打球(クッションボール)のはね返る方向が予測しにくく、守備が難しい。そのため、ビジターの外野手は打球の処理を誤り、二塁打を三塁打にしてしまうなどして、地元チームの打者を余計に進塁させてしまうことが少なくない。
つまり、MLBの各球団は、故意に球場の形をいびつにすることによって、地元チームに有利な環境を作り出し、それによって地元開催の試合を盛り上げようとしているのだ。

とすれば、2009年WBCでも、このような「ホームアドバンテージ」は当然演出されると考えなければならない。

もしも可能なら、ローリングス社が上記の開催国5か国にWBC使用球をすみやかに潤沢に供給する一方で(共同通信2009年1月17日付「藤川、自主トレは『WBC使用球だけで』」)、他の参加国にはなかなか供給しない、というのがいちばん有効な演出だ。
しかし、ローリングス社製のボールは米国内で無尽蔵に出回っているので、さすがにこのテは使えない(中央日報日本語版2009年2月9日「金広鉉『松坂投手?…公認球に慣れるのが先』」)。

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●ナベツネJAPAN●
筆者は、80%の自信をもって、以下のように予言(でなくて科学的に予測)する:

「2009年WBC決勝では、日本と米国が対戦し、韓国はかなり早い段階で敗退する」と。

なんらかの手違いが起きて日米が準決勝で対戦してしまう可能性もないとは言えない。
第2R 1組で日本が1位、同2組で米国が1位になれば両国は決勝まで当たらないが、そうならない場合もないとは言えないので、筆者の予測としては、80%の確率で上記の「」内のことが起きる、ということにしたい。

おそらく、いまナベツネは、「オレはここまでの根回しをやったんだ」「日本が決勝に進出したら、その最大の功労者はオレだ」という自負を抱いているだろう。

つまり、裏側のすべてを知っている彼の目から見ると、2009年WBC日本代表の監督は「だれがやっても同じ」なのだ。だからこそ、彼は自分の気に入った人物(2008年8〜9月の段階では星野)を、WBCの代表監督にしようとしたのだ。おそらく、ナベツネは

「オレが日本が準優勝以上できるようにしたんだから、だれを監督にしようとオレの勝手だろ」

と思ったのだろう。そうとでも考えないと、2008年8〜9月の、WBC日本代表監督人事をめぐるナベツネと星野の発言は説明が付かない。

もちろん、ナベツネは耄碌などしていない。あの吾人は、殺されても死なないぐらいに、心身ともに矍鑠(かくしゃく)としているだろう。
(^^;)
「韓国人のチョン・モンジュン(鄭夢準)国際サッカー連盟(FIFA)副会長が愛国心を発揮してあの手この手で、韓国が2002年W杯サッカー本大会などの国際大会で(実力以上の)好成績を上げられるように工作しているのだから、日本人のナベツネも、シドニー五輪野球日本代表編成における『妨害工作』で日本国内にすっかりおなじみとなった、あの底意地の悪いウラ工作能力を国際舞台で発揮して、日本が国際大会で勝てるようにすれば……」などと前々から筆者は夢想していた(小誌2006年5月8日「韓国1勝、もう確定〜06年W杯サッカー壮行試合の謎」)。

ナベツネもやっと(五輪で何度も失敗して「高い授業料」を支払った末に)国際スポーツビジネスの基本を(悪い意味で)マスターしたらしい。
期待はしていたが、しかし、まさかそんな邪悪なことがほんとうに実現するとは思っていなかったので、筆者はいま、複雑な心境だ。
(>_<;)

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【ナベツネは大相撲の横綱審議委員を務めたこともあるが、たとえ大相撲の歴史に残る名勝負のいくつかが八百長だったと証明されても、べつに驚かないだろう。】

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願わくば、今回の小誌記事が広く読まれないように希望する。この記事が日韓で広く読まれると、日本が準優勝以上の成績を上げても日本国民は素直に喜べないし、韓国からは「誤審で勝った!」などとイチャモンが付けられ、2002年W杯サッカー本大会のときとまったく逆のことが起きる恐れがあるからだ。

 (敬称略)

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【小誌記事の内容を紹介するメールマガジン、ホームページ、ブログなどインターネット上の諸媒体は、必ず小誌記事のURLアドレス http://www.akashic-record.com/y2009/wbcde.html#02 にリンクを張って、読者がワンクリックで小誌Web版の当該記事にアクセスできるようにする義務がある。もしも、上記のインターネット上の諸媒体が、小誌記事の内容を紹介しながらリンクを張らずに済ませるならば、それは、自媒体の読者を、自媒体と同等またはそれ以上に魅力的なコンテンツを掲載する他媒体に奪われないように囲い込もうとする卑怯な行為であると言わざるをえない。インターネット上では、読者は、異なる媒体のコンテンツを比較して、より優れたコンテンツに出会う権利があり、この権利は姑息な手段によって制限されてはならない。】

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【この記事は純粋な予測であり、期待は一切含まれていない。】

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【小誌をご購読の大手マスコミの方々のみに申し上げます。この記事の内容に限り「『天使の軍隊』の小説家・佐々木敏によると…」などの説明を付けさえすれば、御紙上、貴番組中で自由に引用して頂いて結構です。ただし、ブログ、その他ホームページやメールマガジンによる無断転載は一切認めません(が、リンクは自由です)。】

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 (敬称略)

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