誤審の可能性?

 

〜シリーズ

「北京五輪野球

アジア最終予選」

(2)

 

(Nov. 30, 2007)

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■誤審の可能性?〜シリーズ「北京五輪野球アジア最終予選」(2)■

 

北京五輪野球アジア地区最終予選の「日本対韓国」戦の球審を台湾人などが務めるとすると、それは日本に有利か不利か。

 

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■誤審の可能性?〜シリーズ「北京五輪野球アジア最終予選」(2)■

 

【お知らせ:佐々木敏の小説『ラスコーリニコフの日・文庫版』が2007年6月1日に紀伊國屋書店新宿本店で発売され、5月28日〜6月3日の週間ベストセラー(文庫本)の総合20位前後になりしました。】

 

【前回「野球ドーピングクイズ〜北京五輪野球アジア最終予選」は → こちら

 

2007年12月1日から、日本、韓国、チャイニーズ・タイペイ(台湾)などが参加する北京五輪野球のアジア地区最終予選(兼アジア野球選手権大会)が台湾の台中インターコンチネンタル球場で始まるが、この種の国際大会では、しばしば野球後進国の、レベルの低い審判が出て来るので、誤審が起きやすい。

 

また、野球後進国にはあまり豊かでない国が多いので、そういう国から来た審判が買収される可能性もある。

言うまでもなく、同大会における日本のライバル国、韓国は国際スポーツ界における審判買収の常習犯だ。

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1988年ソウル五輪ボクシング・ライトミドル級決勝で韓国のパク・シホン(朴時憲)は米国のロイ・ジョーンズからダウンを奪われるなど終始劣勢だったにもかかわらず判定勝ちしたが、この試合の審判5人のうち3人が韓国に買収されていたことは、翌1989年3月29日に国際アマチュアボクシング連盟(AIBA)が開いた会議で暴露された(小誌2006年12月19日「韓国スポーツ汚染〜『国辱』直後のフィギュアGPファイナル」には、この件を含め、多数の事例が紹介されている)。

 

また、だれが見ても審判が買収された結果としか思えない出来すぎた「誤審」で韓国が連勝した2002年ワールドカップ(W杯)サッカー本大会がある(同大会「韓国対ポルトガル」戦の前日に世界で唯一「誤審」の発生を予測して的中させた小誌2002年6月13日「●いまこそ『奥の手』を〜審判に『期待』」を参照)。

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このような買収劇が成立するには、買収する側と買収される側の間に生活水準の格差があるか、少なくとも後者が貧しい暮らしをしている必要がある。ソウル五輪のボクシングで韓国に買収された3人の審判はアフリカや中米の小国(発展途上国)の国籍を持ち(小誌前掲記事「韓国スポーツ汚染」)、2002年W杯サッカー本大会の「韓国対ポルトガル」戦の主審は、当時経済危機で混乱中のアルゼンチンから来ていた(小誌2002年6月17日「きたない試合〜韓国の進撃(1)」)。

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上記2大会はいずれも韓国で開催されたので、韓国は開催国として審判への買収工作をしやすい立場にあったうえ、とくに後者では、国際サッカー連盟(FIFA)の副会長が韓国人なので、審判の人選に関与しやすく、故意に発展途上国出身の買収されやすい審判を韓国戦に配置するなどの細工がしやすかった(そして、準々決勝のスペイン戦までは現実にそうした)という事情があった(小誌2002年6月23日「1-0でスペインの勝ちだったのに〜韓国の怪進撃(3)」)。

 

北京五輪野球アジア最終予選は台湾で開催されるうえ、韓国は野球では、サッカーと違って、アジアでは大した実績がないため、野球の国際競技団体では発言力が弱い。したがって「韓国に有利な審判の人選」をするのは難しい。

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●審判の国籍●

但し、「台湾に有利な審判の人選」は、台湾が開催国なのでおおいにありうる。

そこで、どのような「誤審」が起きうるか、審判の国籍別に「場合分け」してシミュレーションしてみたい。

 

つまり、日本戦の審判が、

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#1:ライバル国(台湾、韓国)から出る場合

#2:アジア野球連盟所属(BFA)加盟の第三国(フィリピン、インド、香港、北朝鮮など)から出る場合

#3:アジア域外の国で、世界最終予選で五輪本大会出場権を争う国(オーストラリア、カナダ、メキシコなど)から出る場合

#4:アジア域外の国で、すでに五輪本大会出場が決まっている強豪国(米国、キューバ)から出る場合

#5:アジア域外の国も含め、すでに五輪本大会出場が決まっている強豪国(中国、オランダ)から出る場合

 

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の5通りが考えられるのだ。

 

「#2」は、その審判の技術の低さと所得の低さのゆえに、審判、とくに球審が開催国台湾の強い影響下にはいる可能性があり、「#1」で台湾人が直接日本戦の審判をする場合と同様に問題である。

 

【但し、この種の国際大会では慣例として、審判は全員当事国以外の第三国から出ることになっているので、台湾人が「台湾対日本」戦の審判を務めることはない。】

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「#3」は日本にとって有利なケースだ。

日本が韓国よりも台湾よりも地力でまさっていることは、メジャーリーガーを2人しか招集せず、ほとんど「国内組」だけで戦った2006年ワールドベースボールクラシック(WBC)で優勝した事実を見れば明らかだが、万一日本が不覚をとってアジア最終予選で2位か3位になると、2008年3月に同じく台湾で開催される世界最終予選にまわることになる。

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世界最終予選には、米大陸予選3位のカナダ、4位のメキシコ、欧州予選2位の英国、3位のスペイン、アフリカ予選1位(たぶん南アフリカ)、オセアニア予選1位(たぶんオーストラリア)も参加し、アジア予選2位、3位とともに8か国(地域)総当たりのリーグ戦を戦って3位までにはいれば五輪本大会出場権を得ることになっているが(全日本野球会議Web 2007年1月30日「北京オリンピック 野球競技予選概要」)、ここに出ることが決まっている国、あるいは出ることがほぼ確実な国にとっては、ここで強豪日本と争うことは五輪本大会出場の可能性が低下することを意味する。したがって、アジア地区最終予選の審判をオーストラリア(豪州)人やカナダ人が務める場合は、彼らは「日本はさっさと3連勝して予選1位通過で五輪本大会出場を決めればいいのに」と考えながらジャッジをすることになる。

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逆に、「#4」は日本に五輪本大会に出場してほしくないと考えそうな国々だ。米国は2006年WBCで日本に優勝をさらわれ、キューバは2004年アテネ五輪と2006年WBCで日本に敗れている。

 

しかし、たとえ米国やキューバの審判が「反日偏向判定」をして、日本をアジア地区最終予選の2位以下に落としたところで、日本には世界最終予選という「すべり止め」がある。「誤審」で韓国や台湾を勝たせたぐらいで、日本の本大会出場がなくなるわけではない。

 

キューバは台湾や韓国よりもはるかに貧しい国なので審判が買収される危険はあるが、五輪野球で優勝したことのある野球大国なので、「台湾、韓国ごとき」の買収に屈する可能性はそう高くはあるまい。

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【独裁国家キューバの最高指導者のフィデル・カストロ国家評議会議長は野球好きで、国策として野球を振興しており、野球選手がその功績を認められて国会議員になった例もあるので、キューバの野球人は常に高い倫理観を祖国の政府(カストロ)から要求されているはずだ。だからキューバ人審判は賄賂には強いだろう。】

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米国、キューバにとって重要なのは、むしろ、本大会の組分け抽選だ。2004年アテネ五輪と違って2008年北京五輪本大会では、出場国8か国(地域)総当たりの一次(予選)リーグ(L)はなく、4か国ずつ2組に分かれて一次Lを戦い、それぞれの1位と2位が決勝トーナメント(T)に進出するからだ(All About 2006年6月16日「北京五輪野球はこうなる」)。

 

だから、「#4」の場合、ありうるのは単純ミスの誤審だけで、日本を負けさせるための誤審はまずないと見てよい。

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「#5」はもっとも単純だ。

中国もオランダも五輪本大会で日本に勝つ可能性はまったくない。とくに中国は、2006年WBCの一次L(アジアラウンド)の取材に来た米国人記者が「(代表チームでも)米国の高校生レベル」と酷評したほどの実力で、韓国にも台湾にもまったく勝つ可能性がないので、日本が勝とうがどうしようがどうでもいいはずだ。したがって、このケースも、単純ミス以外の誤審はないだろう。

 

となると、問題は「#1」「#2」、すなわち台湾である。

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●日程とルール●

アジア地区最終予選は開催国が台湾なので、台湾はTV中継の視聴率なども考えて自国の国益に沿った日程を編成している(全日本野球会議Web「北京オリンピックアジア予選 試合日程」):

12月1日(土)

13:00〜 台湾×韓国

18:00〜 日本×一次L 1位

 

12月2日(日)

13:00〜 一次L 1位×台湾

 

18:00〜 韓国×日本

 

12月3日(月)

13:00〜 韓国×一次L 1位

18:00〜 台湾×日本

 

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「一次L 1位」というのは、11月27日(月)〜29日(水)に、タイ、フィリピン、パキスタン、香港の4か国(地域)のあいだで行われた予選(一次)Lで1位になった国、フィリピンのことである(アサヒビールWeb2007年9月3日「『第24回アジア野球選手権』にむけて」、Yahoo!スポーツ2007年10月15日『アジア野球選手権』「出場チーム」)。

 

フィリピンの実力は日本、韓国、台湾の「3強」のどれと比較しても圧倒的に劣るので、3強はこの国との試合(計3試合)には必ず勝つと考えてよい。

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そうなると、残りの試合(計3試合)で3強の順位が決まることになる(この大会は延長戦は12回までで、それで同点なら引き分けになるが、ここではとりあえず引き分けはないものとして考える。サンスポWeb版2007年11月29日「星野ジャパン、初戦はフィリピン」)。

 

ということは、3強のうちどれか1国が他の2国に2勝しフィリピンにも勝って「1位=3勝0敗、2位=2勝1敗、3位=1勝2敗」(4位=0勝3敗)となるケースと、3強がすべてフィリピンに勝ったうえで他の2国と1勝1敗になり「1位=2勝1敗、2位=2勝1敗、3位=2勝1敗」(三つ巴)となるケースに別れることになる。

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後者の場合、「勝率で並んだ国同士の順位」は以下の方式で決まる:

 

#01:直接対決に勝ったチーム

#02:当該チーム同士の対戦試合における失点率の低いチーム

#03:当該チーム同士の対戦試合における自責点率の低いチーム

#04:当該チーム同士の対戦試合におけるチーム打率の高いチーム

 

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しかし、上記のような三つ巴の場合は「#01」は適用できないので、その場合は「#02」が適用され、「当該国(日韓台)同士」の総失点を守備をしたイニング数で割った値の小さいチームが上になる。つまり、3強はフィリピン相手に何点取られようがとにかく勝ちさえすればよいが、当該国間では、延長戦を何回やったか、あるいは、2006年WBCの二次Lで問題になったような「(同じ負けるにしても)九回裏無死でサヨナラ負けしたか、あるいは、一死、二死でサヨナラ負けしたか」といったことも関係して来る(九回裏無死でサヨナラ負けした場合、敗戦チームのその試合での守備イニング数は8回だが、一死でサヨナラ負けしたら「8+1/3回」、二死なら「8+2/3回」となり、その分失点率が若干下がる。2006年WBC二次Lの対米国戦で日本は、同点で迎えた九回裏無死では得点を許さず、二死まで守ったことが効いて決勝Tに進出できた。サンスポWeb版2007年11月29日「江本総監督率いるタイ敗れる…野球の北京五輪アジア予選」、日刊スポーツWeb版2006年3月17日「WBC 日本は0.01点差で4強進出」)。

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●日台中心の日程●

「3強は必ずフィリピンに勝つ」と仮定すると、12月1日に日本はまず1勝することになる。

同日、台湾は韓国と戦うが、引き分けがないので、1勝するか1敗するかしかない。

 

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そこで、まず台湾が韓国に勝った場合を考える。

翌日、12月2日昼間の台湾の対戦相手はフィリピンなので、台湾はその時点で2勝することになる。

 

その日の夜、「韓国対日本」戦が行われるが、この試合の審判、とくに球審を台湾人か台湾人の影響下にある第三国人が務めた場合、彼らは韓国と日本とどちらを勝たせたいと思うだろうか。

 

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 (敬称略)

 

 

 

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