媚日派胡錦濤

その2

 

「福田康夫は

親中派」報道

のデタラメ

 

(May 26, 2008)

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媚日派胡錦濤〜「福田康夫は親中派」報道のデタラメ■

 

2008年5月、中国の胡錦濤国家主席は訪日し、福田康夫首相から「北京五輪開会式に出席する」という言質を取るために日中首脳会談に臨んだが、福田は拒否し、意図的に胡錦濤のメンツを潰した。

 

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●実は親台湾派●

 

上記の『文春』の対談記事のあとには、福田がひそかに台湾独立派に接近して(反中国的な行動をとって)いたとする記事が載っている。題して:

 

「スクープ 福田康夫『台湾外相』極秘入国を認めていた! 『インチキ外交』を暴く」。

 

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日本政府は1972年に中国(中華人民共和国)と国交を回復し、台湾(中華民国)と断交して以降、台湾を自国領と主張する中国に遠慮して、現役の台湾総統(大統領、国家元首)、副総統、行政院長(首相)、外交部長(外相)、国防部長(国防相)を来日させないという原則を設けたが、福田が官房長官であった2003年秋、台湾独立を掲げる民主進歩党(民進党)の陳水扁総統政権の現役の外交部長、簡又新を、日本外務省に内緒で極秘入国させて(衛藤征士郎元防衛庁長官に案内役を務めさせて)いた、というのだ(『週刊文春』2008年5月15日号 p.p 36-37「『インチキ外交』を暴く」)。

 

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どうやら『週刊文春』は「福田は親中国派のように振る舞っているくせに、その陰で台湾独立派とつながりをもっているからインチキだ」と言いたいらしい。しかし、なぜそれが「インチキ」なのか。

 

『文春』は、福田が外務省に内緒で、本来入国できないはずの台湾外交部長を極秘に入国させた「秘密主義」を問題視する(『週刊文春』前掲記事)。しかし、外交には秘密はつきものである。中国と台湾が対立していて、日本と台湾の間に国交がない以上、日本政府高官が台湾で人脈を築こうと思えば、中国にバレないようにやらざるをえない。もしバレたら、中国に進出している日本企業が不利益を受ける恐れさえあるわけで、そういう国益を考慮してウソをついたり沈黙を通したりするのは、外交の常道だ。いったい、この福田の秘密主義のどこがいけないのか。

 

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『文春』は「親中国派」が嫌いなはずだ。中国に媚びへつらうのは悪いことと思っているはずだ。だったら、福田が中国をだまして中国と対立する台湾独立派とパイプを築いたことについては、むしろ称賛すべきではないのか。

 

 

 

 

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福田は1998年に夫人同伴で訪台し、台湾独立派の急先鋒、李登輝総統(当時)夫妻と会食している。福田が2007年に首相になった際には、台湾のマスコミは福田を「台湾を三度訪問したことがある人物」と報道して祝福し、福田自身、台湾の事実上の大使館である「台北駐日経済文化代表処」のパーティにも参加したことがある(『週刊文春』前掲記事)。つまり、福田は元々「親台湾派」(反中派)なのだ。

 

すなわち、将来、中国が弱体化して、台湾の国連加盟が避け難い情勢になったとき、福田がそれに賛成しても、べつに福田は台湾国民から「変節した」と言われることはないのである。

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【他方、安倍が首相在任中に靖国神社に参拝しなかったのは、明らかに変節だ。安倍は誠実な愛国者ではない。】

 

 

 

 

 

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たしかに福田は「親中国的」な言動をとったことが何度かある。たとえば、2001年8月15日の終戦記念日に予定されていた小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝を2日前倒しさせた「終戦記念日をはずせばなんとかなる」という助言がその典型だろう(読売新聞2001年8月14日付朝刊3面「靖国前倒し参拝 盟友説得、折れた小泉首相 『慙愧の念に堪えない』」)。しかし、それは「国益のためにウソをつく」ことが常識である外交の世界では、当然許される範囲の芝居ではあるまいか。

 

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【2001年8月の小泉首相は、予定どおり15日に参拝を強行したほうが日中関係にとってはかえってよかっただろう、と筆者は考えている。日本が「脅しに屈しない国」であることを一度示しておけば、今後中国からのこの種の圧力は弱まるはずだからだ(「やっても無駄」な外圧をかけ続けるほど中国人はバカではない)。が、福田が自身を「親中国派」と見せかける手段としてこの問題を使いたかったのだとすれば、ある程度は理解できる(しかし、靖国神社のあり方に問題があるというのなら日本人同士で議論すべきであって、基本的に中国人の口出しを許すべきでないので、筆者はこのときの福田の態度に賛成はできない。小誌2006年7月27日「靖国神社の財政破綻〜『靖国問題』は20年以内にすべて解決」も参照されたい)。】

 

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「インチキ」なのは、福田の外交ではない。日本のマスコミが、確たる根拠もなく、福田の表面的な言動をとらえて「親中国派」のレッテルを貼ったことこそ「インチキ報道」なのだ。

 

 

 

 

 

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【そもそも、福田の側近中の側近が衛藤であり、その衛藤が筋金入りの親台湾派であることは、政治記者ならだれでも知っていることだ(衛藤は台湾政府から、台湾系華僑の王貞治ソフトバンクホークス監督が授与されたのよりも格上の勲章、「中華民国大綬景星勲章」を授与されている。『週刊文春』前掲記事)。その福田が「親中国派」的な言動をとったのなら、それは衛藤と主従2人で役割分担をして、中台双方と外交上のパイプを作ろうとした、と考えるのが自然ではないか。】

 

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●もし大望があるなら●

小誌既報のとおり、福田は「中朝戦争賛成派」である(小誌2007年6月14日「安倍晋三 vs. 福田康夫 vs. 中国〜シリーズ『中朝開戦』(8)」)。ひとたび北朝鮮が中国を攻撃すれば、元々統一性が薄く、税制すら地方政府ごとにばらばらで、チベット自治区や新疆ウイグル自治区など各地に分離独立運動の火種を抱える中国は、たちまち分裂含みで弱体化し、以後半永久的に日本の軍事的脅威にならないことが確実になるからだ(日中投資促進機構Web 2004年『投資機構ニュース』No.100「中国における今後の会計制度と税制、さらにM&Aについて」)。

 

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しかし、この「中国の弱点」については、日本の政治家は口が裂けても、その日が来るまで公言してはならない。たとえば、日本の国会議員が国会でこのことをひとことでも言えば(中朝戦争が起きると朝鮮半島が不安定化して韓国から外国資本が逃げ出すと予想されるので)、韓国の株式市場ではたちまち大暴落が起き、韓国経済は一夜にして壊滅してしまう。だから、世界中の政治家や外交官は、中朝戦争の可能性に気付いていながら、絶対にそれを公言することはない(小誌2007年4月14日「国連事務総長の謎〜シリーズ『中朝開戦』(4)」)。この問題を民主的に議論することは許されないのだ。

 

つまり、もし福田が「大望」を抱いているのなら、当然「秘密主義者」になるはずなのだ。「開戦Xデー」直前まで「親中派」のフリをすることも必要だろう。

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●マスコミ嫌い●

福田は政界屈指のマスコミ嫌いとして知られている。

NHKの『総理に聞く』に出演したのを除くと、福田は、首相になる前からこんにちまで、新聞、TV、週刊誌など大手マスコミの単独インタビューを受けたことがない。

 

 

 

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その理由としては、まず「愛想が悪くて口下手だから」といった評判が思い浮かぶ。

しかし、彼は森喜朗、小泉純一郎という2人の首相のもとで、2000年10月〜2004年5月まで官房長官を務め、その間毎日定例記者会見に臨んでいたのである(官房長官としての在職日数は史上最長の1289日)。「口下手」で3年半もあのポストが務まるはずがない。

 

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とすると、ほかの理由が考えられる。たとえば、

 

「外交のイロハもわからない、あたまの程度の低い記者どもに、自分の大望を語っても無駄だ」

 

と福田が思っている可能性である。

日本のマスコミ各社は、もし福田の単独インタビューを取りたければ、第一線から「インチキ記者」や「程度の低い記者」を排除し、せめて外交のイロハぐらいわかる記者と交代させておく必要があるだろう。もちろん福田が「中国の弱点」について直接語ることはありえないが、インタビュアーの能力がまともなら、抽象的に地政学上の問題を論じることぐらいはできるだろう。

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【『週刊新潮』は最近、中国諜報機関の対日浸透工作の対象となった政治家のリスト、つまり「親中派として中国に取り込まれそうな政治家のリスト」を日本の公安当局から入手したと報じた(2008年5月22日号 p.p 48-49「流出した中国人『スパイリスト』と標的にされた『政治家リスト』」)。しかし、その「政治家リスト」に福田康夫の名前はない。】

 

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●「媚日派」の誕生●

胡錦濤訪日後、さすがの『文春』もようやく「福田が媚中派なのではなく、胡錦濤が媚日派なのだ」と気付いたようだ。その理由として胡錦濤の早大招聘にかかわった専門家の意見を紹介しているが、それは「これまで中国が(世界に対して)強気の姿勢だったのは、(中国経済の)高度成長という支えがあったから」だが「それがなくなりつつあり、世界から孤立し始め」ており「ここで日中関係まで悪くなると、中国の危機」だから、という中国側の苦しい事情だ(『週刊文春』2008年5月22日号 p.36 「『訪日』知られざるドラマ 胡錦濤に環境破壊をおたしなめになった『天皇のお言葉』」)。

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但し、この下りは記事の見出しにはまったく反映されておらず、胡錦濤の「媚日ぶり」はほとんど強調されていない。いままで「福田は媚中派」というトーンで記事を売って来た手前、引っ込みがつかないのだろう。

 

 

 

 

 

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実は、胡錦濤は5月7日の日中首脳会談で、日中間で領有権争いの火種になっている「東シナ海ガス田問題」では、福田の提案する日中共同開発案を受け入れている。しかし、中国ではこの問題は一種の領土問題であり、中国政界に隠然たる発言力を持つ軍部(人民解放軍)の管轄であり、中国国内での十分な根回しなしにうっかり「共同開発で合意」と発表すると、北京で「胡錦濤おろし」が起きかねない。このため、胡錦濤は福田案を呑んだにもかかわらず福田に「詳細はまだ公表しないでほしい」と要請し、両国政府ともに「大きな前進があった」としか発表しなかった(『週刊文春』前掲記事p.34)。

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媚日派はつらいよ。

(>_<;)

 

【お知らせ:佐々木敏の小説『天使の軍隊』が2007年4月26日に紀伊國屋書店新宿本店で発売され、4月23〜29日の週間ベストセラー(単行本)の 総合10位(小説1位)にランクインしました。】

 

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 (敬称略)

 

 

 

 

 

 

 

 

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【この問題については次回以降も随時扱う予定です。
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