連立政権組み替えの兆候
〜「中朝戦争賛成派」が
小池百合子新党
に集結!?
■連立政権組み替えの兆候〜「中朝戦争賛成派」が小池百合子新党に集結!?■
2008年秋、小池百合子元防衛相は次期衆議院総選挙を機に自民党を離党して新党を作る可能性があるが、彼女の背後には「中朝戦争賛成派」が集結している。他方、公明党は自民党との連立政権から離脱する決意を七割方固めたようだ。
■連立政権組み替えの兆候〜「中朝戦争賛成派」が小池百合子新党に集結!?■
【お知らせ:佐々木敏の小説『ラスコーリニコフの日・文庫版』が2007年6月1日に紀伊國屋書店新宿本店で発売され、5月28日〜6月3日の週間ベストセラー(文庫本)の総合20位前後になりしました。】
【前回「福田康夫首相退陣の謎〜東京地検 vs. 公明党〜福田首相退陣は政界大再編の前兆」は → こちら】
前回、日米同盟の維持など日本の国益を熱心に(勝手に)考える傾向のある検察庁(東京地検特捜部)は、公明党を、新銀行東京の不正融資に公明党都議会議員らが関与した容疑で(他党の都議会議員は摘発せずに)差別的に摘発する可能性がある、と述べた。アフガニスタンにおける「テロとの戦い」に参加する米国などの艦船に海上自衛隊が給油を行うための「給油法」の延長に反対する公明党を、検察庁が、「国益を損なう政党」とみなしていると考えられるからである。
このような場合、公明党幹部は党の存亡がかかっているので「二度と日米同盟を傷付けるような態度はとりませんから、逮捕しないで下さい」と検察に陳情したい心境だろう。
が、さりとて、まさか現職の公明党国会議員が検察庁に行って直接検事に「逮捕しないで下さい」と頼むわけにはいかない(そんな「司法への介入」をすれば、それ自体が国民の非難の的になって、公明党は崩壊する)。
●黒幕は政治家ではない●
そこで、仲介者が必要になる。
たとえば、検察庁などの官僚機構に身内や親友がいて、口の堅さ、知性の高さ、愛国心の強さで官僚たちから強く信頼されている反面、官庁にも政党にも大企業にも属さず、身内や近い親戚に外国出身者や外国籍の者がおらず、あらゆる利権や外国の工作から中立の立場にいることが確実な者…………そういう自由な立場の知識人がいれば、仲介者になりうるが、もちろんそのような人材は少ない。
が、いることはいる。
筆者はいままで小誌上で、福田康夫政権の樹立を成し遂げた人物を福田の「側近」と表現して来た(小誌2007年6月14日「朝鮮総連本部の謎〜安倍晋三 vs. 福田康夫 vs. 中国〜シリーズ『中朝開戦』(8)」)。が、厳密に言うと、この「側近」は福田個人の側近ではない。
彼は福田の秘書ではないし、同じ派閥(町村派、清和会)の後輩議員でもないし、自民党員でもない。上記のような「自由人」なのだ。
彼は、官僚機構、とくに検察庁の信任が厚く、「中朝戦争賛成派」であり、福田内閣樹立に動いたのも、政策を実現するためであって、福田個人への忠誠心からではない。
福田が(安倍晋三前首相の人気の高さに恐れをなしたから、ではなく)町村派の分裂を回避するために、2006年9月の自民党総裁選を一回パスしたのも、この「側近」(Qとする)の決断によるものだ(筆者はQ本人から直接そう聞いている)。
2007年自民党総裁選で福田が当選した直後、TBSの番組に生出演した岸井成格(しげただ)毎日新聞特別編集委員は、「実は、福田さんが政治について(ホンネで)相談する人は1人(だけ)いるんですよね」と口走った(2007年9月24日放送のTBS『みのもんたの朝ズバッ!』)。
筆者は耳を疑った。その人物(Q)がだれであるかは、永田町の事情通ならだれでも知っているが、その名前はおおやけの席では言わないことになっているからだ(言えば、二度とQから情報はもらえない)。
それを聞いた司会者のみのもんたが「だれですか。(政治家の)Xさんですか」と聞き返すと、岸井は「いえ。政界の人じゃありませんから」と答え、それに対してみのもんたが「じゃあ、財界の人なんだ」ととんちんかんな反応をし、結局、名前の暴露はなされずに終わった。
経験の浅い未熟なジャーナリストは知らないだろうが、ベテラン(大手マスコミの最高幹部級)ならば、福田政権を樹立する際の政界工作の立役者が、森喜朗元首相でも自民党各派閥の領袖でもなく、Qであることはみんな知っている。
【2007年9月12日の安倍前首相の辞任表明直後、マスコミ各社は「ポスト安倍」の後継首相は麻生太郎と予測した(共同通信2007年9月12日付「人気で麻生氏先行か 若手は小泉氏に再登板要請」、同9月13日付「12道県が麻生氏 『未定』も33都府県」、産経新聞2007年9月13日付朝刊1面「安倍首相辞任 後継選び 麻生・福田氏軸に 『小泉再登板』も浮上」)。
が、一夜にして、麻生派を除く自民党のすべての派閥の領袖が福田支持を表明する派閥工作がなされ、翌日になると、一転して(小誌が事前に予測したとおり)福田が大本命になっていた(小誌2006年9月18日「ポスト安倍〜10か月後に『2年限定政権』へ」、読売新聞2007年9月14日付朝刊1面「自民総裁選23日投票 福田氏への支持拡大、出馬へ」、同14日付夕刊1面「自民総裁選告示 『福田総裁』固まる 各派次々支持、額賀氏も協力表明」)。
この派閥工作を一晩で成し遂げたのが、Qなのだ。筆者は当時「工作」完了直後にQに電話をして話したので、よく覚えている。電話の向こうのQは疲れ切った声で「徹夜で人と話してばっかりだからへとへとだよ」などとうめいていた。】
というわけで、Qの活躍は筆者もマスコミ界のベテラン(最高幹部に近い、ごく少数)も知っている確かな事実なのだが、ならば、2008年9月1日の福田退陣表明の際、Qは関与していなかったのか。福田政権退陣後、Qは何をするのか。
最近(2008年9月以降)筆者はなかなかQと話せていない。Qは相当に忙しいらしい。福田政権樹立前後を上回る忙しさのようだから、あのとき以上に大掛かりな政界工作に走りまわっているに違いない。
Qは「中朝戦争賛成派」だ。
そして、彼の指導を得て、ほぼ同じ思想信条を持つに至った政治家、衛藤征士郎元防衛庁長官(元外務副大臣)や武部勤元自民党幹事長も、ほぼ同様だ。
いったい彼らはいまどこで何をしているのかと思って、マスコミの政局報道を見ていたら、なんと彼らは2008年自民党総裁選における小池百合子元防衛相の応援団になっているではないか(産経新聞Web版2008年9月12日のメインフォト「小池百合子緊急選挙対策会議で小池百合子・元防衛相と握手を交わす武部勤・元幹事長。左は選対本部長の衛藤征士郎・元防衛庁長官」)。
小池応援団の顔ぶれとしては、町村派に属しながら麻生太郎前幹事長を次期総裁に推す同派の多数派と袂を分かつ形で小池擁立に動いた中川秀直・元自民党幹事長や(『AERA』2008年9月22日号 p.p 21-23 「『小池新党』で自民党解体」)、2008年9月12日に小池支持を表明した小泉純一郎元首相が知られている(産経新聞Web版2008年9月12日「自民総裁選 『小泉氏が支持』 小池氏陣営が表明」)。
その小泉の小池支持表明が、小泉の口から直接なされず、小池の取材に集まっていたテレビカメラの前で、衛藤(小池陣営の選対本部長)の口から伝えられたのは、どういうことだろう(産経前掲記事)。
普通に考えれば「(総裁選における麻生優位が伝えられる中で)いまだに人気のある元首相の自分が麻生のライバルを支持すると自民党が分裂する」として小池支持を渋っていた小泉を、衛藤らが説得したから、ということにならないだろうか。
【もし小泉が2008年自民党総裁選の序盤から一貫して強く小池を支持していれば、たぶん小池と麻生は大激戦になり、麻生支持の多い町村派(清和会)は分裂しただろう(2008年9月26日放送のテレビ朝日『スーパーモーニング』)。それどころか、自民党が分裂しただろう。
が、どうも小泉は、母校への愛校心、郷土への郷土愛と同格かそれ以上の気持ちとして自民党への「愛党心」を持っているようだ。2001年総裁選に立候補した際の小泉の「自民党をぶっ壊す」という発言も、ウラを返せば「ぶっ壊すぐらいの気持ちで自民党を正しい道に導く」という意味であり、それだけ愛党心が強いということだろう。】
2008年総裁選で当初から本命視されていた麻生は財政再建を軽視した「バラマキ」ともとれる景気刺激策を前面に掲げ、事実上、小泉の始めた「構造改革路線」を否定している。中川秀直はこれに批判的で、構造改革を通じて景気をよくして行くと主張する「上げ潮派」と見られている。小泉と中川は「バラマキ派」の麻生の経済政策に不満で、それで「上げ潮派」の小池を支持したというのが、マスコミでは定説になっている。
小泉にはいまだに一種のカリスマ的な人気があり、2005年衆議院総選挙で当選した83人の「小泉チルドレン」の一回生議員にも影響力があるので、彼が「構造改革路線堅持」を掲げ、小池を旗頭にして新党を樹立すれば、数十人の自民党国会議員が集結して、政界再編の台風の目になる可能性があった。
●小泉人気乗っ取り?●
が、小泉には「外交・安全保障政策」というものがない。
2001年5月以降の、小泉政権発足直後の国会中継をご覧になった方はご記憶だろうが、彼は「郵政民営化」などの経済政策の話になると、持ち前の深い理解に基づいて、自分の言葉で、情熱的に(国民に向かって)語るので、当時の国会中継は異例の高視聴率をマークしていた。
しかし、当時日米同盟の一環として日本への配備が検討されていたミサイル防衛(MD)などの外交・安全保障政策に話題がおよぶと、一転して、官僚の作成した答弁書を棒読みする醜態を演じた。これについては、小泉自身しばしば「棒読みはよくない」と反省していたが、元々外交・防衛関係の教養がないので、2006年の退陣までついに改善されなかった。
さて、2008年の衆議院総選挙で自民党も民主党も単独過半数に達せず、公明党が(新銀行東京スキャンダルが暴露されて)どちらにも付かない、という事態になったとき、「小池(小泉)新党」が誕生すれば、その新党が政局のキャスティングボードを握ることは明らかだ。
そして、その新党の外交・安全保障政策を主導するのは、外交音痴の小泉ではなく、元防衛庁長官の衛藤(かQの親友の武部)だろう。つまり、総選挙と政界再編のあとにできる新政権は、事実上「中朝戦争賛成派」の政権になる可能性がかなりあるのだ。
つまり、Q(を支持する日本の官僚機構中枢)は、中朝戦争などの政策推進のため、福田を「使い捨て」にしたあと、小池に乗り換え、小池-小泉コンビに背後霊のようにとりついて、その外交政策を乗っ取ろうとしているのだ。
【尚、中川はQと完全に思想信条を共有してはいないものの、Qの影響下にある(Qの事務所には中川と一緒に撮った写真があり、中川はQに相当に世話になっている)。なぜ、どのような影響や世話を受けているのか、ということをここで詳しく書こうと思えば書けるが、書くと、Qがだれかわかってしまって、筆者は二度とQから情報をもらえなくなるので、書かない。】
2005年9月の総選挙直前、Qは小泉に異常に人気がありすぎることと、その小泉が後継首相に福田を指名するのをやめ、途中から安倍に変更してしまったことに怒っていた。小泉政権が長引き、親中国派(見かけ上は「反中/反朝愛国派」)の安倍の政権ができると、「中朝戦争賛成派」の福田政権の誕生がそれだけ遅れるからだ。
衛藤らを「背後霊」として小池周辺に送り込んで、小泉人気を自らの外交政策の実現に利用できれば、Qはようやく、ここ数年間最大の「障害」だった小泉人気なるものを克服することができる。
【この問題については次回以降も随時扱う予定です。
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