連立政権組み替えの兆候

その2

 

〜「中朝戦争賛成派」が

小池百合子新党

に集結!?

 

(Oct. 01, 2008)

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■連立政権組み替えの兆候〜「中朝戦争賛成派」が小池百合子新党に集結!?■

 

2008年秋、小池百合子元防衛相は次期衆議院総選挙を機に自民党を離党して新党を作る可能性があるが、彼女の背後には「中朝戦争賛成派」が集結している。他方、公明党は自民党との連立政権から離脱する決意を七割方固めたようだ。

 

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●八百長説は疑問●

 

尚、森喜朗と中川秀直の喧嘩については、中川が森内閣の官房長官を務めるなど、従来「中川は森の側近」と見られていただけに、「総裁選を盛り上げるためのパフォーマンス」という説もある(『AERA』2008年9月22日号 p.p 21-23「『小池新党』で自民党解体」)。が、衛藤、武部、中川というQとつながりの深い政治家がそろって小池を支持している以上、とても芝居とは思えない。

 

 

 

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なぜなら、麻生は「中朝戦争反対派」(親中国派、反北朝鮮派)であると推測されるからだ。

2007年9月17日の、前回の自民党総裁選の最中、麻生は「(北朝鮮による日本人)拉致事件の被害者は全員生きている(という前提で北朝鮮と交渉すべし)」と口走った(小誌2006年9月18日「ポスト安倍〜10か月後に『2年限定政権』へ」、産経新聞Web版2007年9月17日「福田氏、拉致解決に意欲 『圧力』必要と麻生氏」)。

これは、マスコミに流れる拉致問題の報道を鵜呑みにする素人には受ける意見だ。

が、マスコミ報道以上の拉致被害者情報を持っている自民党の有力議員や大手マスコミのベテラン記者の目から見れば、無能で無責任な安倍と同レベルの、子供だましの意見であり、政治家の公約としては完全な空手形だ(小誌2007年3月18日「すでに死亡〜日本人拉致被害者情報の隠蔽」、同7月3日「『ニセ遺骨』鑑定はニセ?〜シリーズ『日本人拉致被害者情報の隠蔽』(2)」)。

 

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生きてもいない拉致被害者を取り返すために北朝鮮を敵視し続けるということは、未来永劫「日朝同盟」は結ばず、中朝間の領土紛争では北朝鮮の味方はせず、場合によっては北朝鮮が中国に併合されてもかまわない、ということだ(小誌2007年10月22日「軽蔑しても同盟〜シリーズ『中朝開戦』(11)」)。

北朝鮮が中国に併合されれば、北朝鮮の日本海沿岸の港はすべて中国の管理下にはいり、そこに中国海軍の潜水艦(場合によっては、潜水艦発射弾道ミサイルで日米を核攻撃できる原子力潜水艦)が配備されるかもしれない。

冗談じゃない。日本にとって、最大の脅威は中国だ。中国は現時点ですでに日米を直接核攻撃できるミサイルを持っているが、北朝鮮はそんなものは持っていないし、それを作る技術もない。

北朝鮮など、米軍がその気になれば、ステルス戦闘機や巡航ミサイルやバンカーバスター(地中攻撃ミサイル)を駆使して、たった10分で消滅させることのできる弱小国だから、もちろん日本にとってはなんの脅威でもない。

なんで、なんの脅威でもない弱小国を目の敵にし、逆に、明らかに日本にとって脅威である核大国に対抗するための外交の選択肢を棄てるのか。拉致問題を声高に叫ぶ政治家は、まったく無知無能で拉致問題の現実を知らないか、さもなければ、中国の手先(売国奴)であるかのどちらかだ(小誌2007年10月6日「拉致問題依存症〜安倍晋三前首相退陣の再検証」も参照されたい)。

 

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売国奴とそうでない者の戦いが、ただのパフォーマンスである可能性は低い。

たとえ中川秀直が「八百長でした」として、ことを丸く納めようとしても、衛藤や武部が本気であれば、小池はもう後戻りはできない。政治とはそういうものだ(小池は、2008年の自民党総裁選で、党員票では麻生太郎新総裁に次ぐ7万票を獲得し、実質2位だった。時事通信2008年9月22日付「議員票、地方票に手応え=くすぶる新党結成の憶測-自民・小池氏」)。

 

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●「出戻り連立」もあり●

但し、「森(麻生)と中川(小池)の喧嘩(対立)がほんものである」からといって、必ず「小池百合子支持派が自民党を離党して新党を作る」とは限らない。

小池を応援する衛藤や武部にとって、新党を作ることは(自らが正しいと信じる外交・安全保障政策を実現する)手段であって目的ではないからだ。すなわち、小池支持派は新党を旗揚げして民主党と連立して政権を取る可能性はあるものの、民主党との連立政権協議の過程で十分に政策が実現できそうにないと判断し、かつ、「古巣」の自民党(麻生首相)と連立したほうが政策が実現できると判断した場合は、いったん離党(寸前)まで行ってから、総選挙後に麻生内閣で外相や防衛相(や官房長官)などのポストを占めることで妥協する、という可能性もないわけではない(おそらく、小泉は、できればそのほうがいいと思っているだろう)。

 

それは小池支持派の政治家たちが、その場その場で臨機応変に判断することなので、いまから完全に予測することは困難だ。

 

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●民主党と国民新党●

筆者と同じように、民主党と国民新党も、小池支持派の動きが読めなくて、困っていたはずだ。

民主党と国民新党は、次の衆議院総選挙では選挙協力をすることが決まっているが、もしも選挙の結果、民主党陣営(民主党と公明党の連携もありうる)と自民党陣営(自公)のどちらも過半数に達せず、どちらかが「あと数議席で過半数」という事態になったとき、自民党陣営は国民新党を引っ張り込んで過半数を取ろうとする可能性がある。

そうなると、民主党支持者やその支持団体の票をもらって当選した国民新党の議員が、選挙で受けた応援を「食い逃げ」して自民党陣営にくみし、結果的に民主党側の国民新党への応援は自民党側を利することになってしまう。国民新党が独立した政党として存在する以上、「食い逃げリスク」は避けがたく、民主党側は疑心暗鬼になるはずだ。

そうなってはたまらないから、民主党は2008年9月、国民新党の党是である「(2005年に法案が成立した)郵政民営化の見直し」を党の政策として正式決定したうえで、国民新党に合併を申し入れた(朝日新聞Web版2008年9月15日「民主・小沢代表『国民新党との合併も選択肢』」)。合併すれば「食い逃げ」は不可能になるからだ。

 

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が、国民新党も疑心暗鬼に陥っていた。

もしも総選挙の結果、民主党陣営が「国民新党(衆議院で5議席程度)を加えただけでは過半数は取れないが、小池新党(衆議院で数十名)を加えれば過半数を超える」という事態になったとき、小池新党と連立する可能性があるからだ。

小池新党は当然、小泉政権の、郵政民営化を含む構造改革路線の継続を民主党と連立するための条件にするだろう。とくに「党首」の小池は、2005年総選挙で東京10区から立候補していた、郵政民営化反対の急先鋒、小林興起衆議院議員(当時自民党、現国民新党)を落選させるための「刺客」として、小泉の要請で選挙区を関西から東京に「国替え」して出馬して当選した経緯があるので、筋金入りの「郵政民営化賛成派」のはずだ。

したがって、民主党が小池新党と連立すると、国民新党と民主党との合意事項である「郵政民営化見直し」は棚上げされる可能性が高いのだ。つまり、総選挙後の小池支持派の動き次第では、逆に国民新党(を支持する特定郵便局長OBやその家族が作る「大樹会」)のほうが、民主党側への選挙協力の成果を、民主党に「食い逃げ」される恐れがあるのだ。

 

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とりわけ、民主党が次期衆議院総選挙の全国300小選挙区の候補者うち、一次公認候補としては187人しか発表せず(民主党Web 2008年9月12日「衆院選予定候補一覧」)、前回(2005年衆議院総選挙)まで岩手4区から立候補して当選して来た小沢自身の立候補予定選挙区を白紙にする一方で、小池の立候補する東京10区や、公明党の太田昭宏代表の立候補する東京12区の候補者も事実上「空白」にしたことで、国民新党の疑心暗鬼はよりいっそう深まっただろう。

 

 

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小沢のような超有名候補が東京10区、12区に立候補するとなれば当然、小池、太田は落選する可能性が高い。小沢は一次公認候補発表の段階で故意に、自身の立候補先と東京10区、12区の民主党候補者名を伏せることによって事実上、小池、太田双方に「落選したくなかたっら、民主党と連立しろ」と迫ったことになる。

もしも小沢が最終的に東京10区から出馬しなければ小池新党と連立する可能性が高く、東京12区から出馬しなければ公明党と連立する可能性が高い。どちらからも出ず、従来どおり岩手4区から立候補するなら、両党と連立する可能性があるということになる。そうなったら、国民新党は民主党を中心とする連立政権の中で極端な少数派となり(あるいは、吸収合併された場合は、民主党内部の弱小派閥となり)、発言力を失い、「郵政民営化見直し合意」は空手形になる可能性が高い(むしろ自民党と組んだほうがトクなぐらいだ)。

 

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2008年9月21日の民主党の臨時党大会で代表に三選された小沢は記者会見の席で(記者の質問に答える形で)「現在の与党の一部との連立は考えない」と言ったが(2008年9月22日放送のJNNニュースバード)、現時点で民主党の選挙協力の相手が社民党と国民新党に限られている以上、「これから3党手をたずさえて選挙を戦おう」というときに、「自民党の一部や公明党とも連携します」と言えるはずはないので、この発言は無視していい(というか、記者会見でこういう質問をする記者の頭が悪すぎる)。

(>_<;)

もろもろ考えてシミュレーションすると、このような結果になるので、民主党は国民新党と選挙前に合併しようとしたが、国民新党がそれを断ったのだろう(朝日新聞Web版2008年9月19日「民主・国民新党が合併断念 選挙協力は維持」)。

 

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というか、元々小沢は(小池支持派など自民党の一部や、公明党との)連立を狙っていたのではないか、と思われる。なぜなら、小沢が掲げる政権公約には「農家への戸別所得保障、子供手当てなど20兆円以上の財源を必要とする政策」や「海上自衛隊による安全なインド洋上での給油活動に替わる、危険なアフガン国内での国際治安支援部隊(ISAF)への陸上自衛隊の派遣」など、あまり現実的とは言えないものが含まれているからだ。

 

 

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農家への所得保障や洋上給油活動の打ち切り(ISAFへの陸自派遣)は、地方の農民票や左翼系労働組合の組織票を獲得するには役に立つが、現実に政権を運営するうえでは、多額の財源が必要になったり陸自隊員が殉職したりといった困難が予測されるので、実際にはやらないほうがいい。

もしも民主党が小池新党と連立することになれば、連立与党間の政策すり合わせ協議の過程で、民主党側は当然いくつかの政権公約を棄てて歩み寄らざるをえないから、実現の難しい(選挙目当ての)政策はその過程で消える(ウラで小沢が小池に「ISAFへの陸自派遣は当面棚上げしましょう」「代わりに、海自の給油活動は当面続けましょう」などと言ってくれと頼めばいい)。

そういう妥協は「政権公約の政策を一部でも実現するための手段」として有権者に釈明することができるので、「公約違反」には該当しない。

 

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民主党が衆議院で単独過半数を取るのが困難なことは、党独自の世論調査を何度か行えば事前に(2007年の段階でも)わかるので、小沢はそれを承知で、敢えて実現しないほうがいい政策を選挙目当てに掲げた、と考えたほうが自然だろう。

 

したがって、小沢の掲げる政策を「現実的でない」と批判するのは、民主党の攻勢に怯える自民党員(のまわし者)か、政治の素人ぐらいだろう。

 

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●「負け犬代表」は論外●

2005年9月の衆議院総選挙の直前、郵政民営化法案に反対して自民党を離党した「郵政造反派」は、国民新党、新党日本などの新党を結成した。このことについてコメントを求められた岡田克也・民主党代表(当時)は、まだ両党の関係者と挨拶すらしていない、両党結党直後の段階で早々と

 

「(造反新党は)自民党B、自民党Cにすぎない。選挙後の連携も考えていない」

 

と斬り捨てた(朝日新聞Web富山版2005年8月21日「民主・岡田代表が來県」)。

 

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岡田のこの発言は愚かとしか言いようがない。

「総選挙の結果、たとえ民主党が、あとほんの数議席、造反新党の議席を足せば過半数に届くケースになっても連携しない」と事前に暴言を吐いて造反新党を愚弄した以上、岡田が代表である限り、民主党は単独過半数を取らない限り政権は取れない、ということである。

そして、当時、民主党や自民党が独自に行っていた世論調査を見ても、またマスコミ各社が行っていた世論調査を見ても、民主党が単独過半数を取る可能性がまったくなかったことを考えれば(小誌2005年9月8日「計画的解散〜シリーズ『9.11総選挙』(3)」、同9月8日「データベース選挙〜シリーズ『9.11総選挙』(4)」)、このとき岡田は、総選挙を通じて政権を取ることを事実上放棄して、「負け犬根性」で選挙を戦っていたことになる。

 

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これは、企業で言えば「背任罪」に相当する裏切り行為であり、二度と組織のトップに立つ資格がない者として、社会的生命を断ってもいいぐらいの大罪である。

 

この岡田について「小沢は人柄が悪いから、ぜひ精錬潔白な岡田を代表に」などという意見が、2008年9月の民主党代表選公示の前(8〜9月頃)に、民主党の中堅や若手の国会議員のあいだにあったというから驚きである。

 

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バカも休み休み言え。負け犬を党首にしてどうするのだ。

小沢は人柄が悪い? あたりまえじゃないか。政治家なんてみんな人柄が悪いに決まっている(自分の胸に聞いてみろ)。

世の中には、イヤ〜な人柄の上司のもとで我慢して働いているサラリーマンは大勢いる。代表の人柄がどうのこうのと、くだらないことで泣き言を言うな。そんなのは、わがままだ。

 

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いまの民主党にとって「小沢代表」は最善の選択だ。

考えてもみよ。東京10区、12区の候補者名を故意に空白にして、小池新党と公明党の双方に脅しをかけ、取り引きを迫る、などという高度なテクニックは小沢にしか使えないではないか(これは、野球の采配で言えば、野村克也・現東北楽天ゴールデンイーグルス監督がヤクルトスワローズ監督時代に実践してチームを優勝に導いた「野村ID野球」にも擬せられるべき高等戦術だ。こんなこと、政界では小沢のほかにだれにできるか。少なくとも岡田にできないことは明らかだ)。

 

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「小沢代表」で総選挙に負ければ、仕方がない。それで民主党は終わりだ。

民主党が次期総選挙に惜敗すれば、党内から「小沢責任論」「代表辞任論」が出るだろうが、それは私怨に基づくへりくつであって、政治家としてのまじめな思想信条とはあまり関係ないだろう(が、小沢は責任をとって代表を辞任する可能性が高い)。

 

岡田を始め、民主党国会議員の大多数は閣僚経験がなく、政治家としては未熟な「素人」だから、そうなるのは仕方がない。が、民主党が負けると、日本では「選挙による政党間の政権交代」という、先進諸国や韓国、台湾でもあたりまえの「複数政党制」がついに実現できなかった、ということになるわけで、筆者は愛国者として、日本の民主主義のレベルの低さを嘆かずにはいられない。

 

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民主党の中堅・若手議員に警告する。

次期総選挙の結果、民主党陣営(国民新党、社民党や、民主党系無所属議員を含む)が衆議院で過半数を獲得できなくても、すぐに「小沢下ろし」はするな。

小池が何人連れて離党するのかがはっきりするまで、待て。ほんの数週間でいいから、我慢しろ。 さもないと一生後悔するぞ。

 

うまく立ち回れば(小沢内閣ではなく)「小池内閣」の閣僚になれるかもしれないのだから。

 

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 (敬称略)

 

 

 

 

 

 

 

 

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