人権帝国主義

 

〜シリーズ

「究極の解決策」

(2)

 

(Dec. 01, 2008)

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■人権帝国主義〜シリーズ「究極の解決策」(2)■

 

2009年1月に米国に史上初の黒人大統領が誕生し、彼が米国債を乱発する政策を採ると、日本は、自らが人権を抑圧しない民主主義国家であることを「証明」する必要に迫られる。

 

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■人権帝国主義〜シリーズ「究極の解決策」(2)■

 

【お知らせ:佐々木敏の小説『中途採用捜査官』が2008年11月7日に紀伊國屋書店新宿本店で発売され、週間ベストセラー(文庫本)の総合20位前後になりしました。】

 

【前回「究極の解決策〜勝手にドル防衛?」は → こちら

 

前回、米国が、米ドルの基軸通貨としての地位を守るために、主として中国などの「非民主主義諸国」に対して、人権問題などを理由に経済制裁と称して、米国債の債務不履行すなわち「借金の踏み倒し」や、古いドル札の大半を整理する「二重通貨制」を実施する可能性があることを述べた。が、それでもまだ実感がわかない、という方はおいでだろう。

 

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●謎の先住民決議●

しかし、日本政界の保守勢力のなかには「ありうる」と思っている人がいるようだ。

なぜわかるのかというと、今年2008年(6月6日)になって急に、「アイヌ民族を(日本の)先住民族とすることを求める決議」(以下「先住民決議」)が国会で可決されたからだ。

 

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それまで、日本の保守政界には日本を単一民族国家と考える「民族主義者」が大勢いた。

それは、1995年にオウム真理教の富士山麓の本部が摘発され、地下鉄サリン事件を上回る規模の、さらなるテロが計画されていたことが判明したとき、自民党の野中広務・国家公安委員長(当時)が「警察の捜査が遅れていたら、民族の危機だった」(毎日新聞1995年5月26日付朝刊2面「オウム真理教捜査、遅れていたら民族の危機 - 野中広務自治相に聞く」)と発言したことでも明らかだ。

 

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また、2008年には、同じく自民党の中山成彬国土交通相(当時)が「日本は単一民族」と発言している(産経新聞Web版2008年9月26日「『成田反対ゴネ得』『日本は単一民族』 中山国交相『誤解招く』と撤回」)。

 

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このように、日本の保守政治家たちは伝統的に日本民族と日本国民を同一視し、アイヌのような少数民族の存在は無視して来た。だから、日本政府が1996年に人種差別撤廃条約を批准したことを受けて制定されたアイヌ文化振興法も、アイヌが先住民族であるかどうかという問題を明確に規定しなかったし、2007年9月の国連総会で「国連先住民族権利宣言」が採択されたあとも、日本の国会がそれに対応する決議や法案を可決することはなかった。

 

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ところが、なんの理由か、2008年6月になって急に「先住民決議」案が発議され、衆参両院全会一致で通ってしまった(よくわかる政治 2008年6月10日「アイヌ先住民族決議、国会で採択」、2008年10月15日放送のNHK『その時 歴史が動いた』「神々のうた 大地にふたたび〜アイヌ少女・知里幸恵の闘い」)。日本は一夜にして「多民族国家」になったのだ。

 

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これは、「日本は中国と違って少数民族の人権を抑圧していない」ということを急に示す必要に迫られたから、と解釈できる。

 

 

 

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●女性宰相待望論●

他方、日本の首相は初代の伊藤博文以来全員男性だが、2008年後半になると急に、それまで政界で単なる冗談と考えられていた「小池百合子宰相論」が浮上する。小池はそれまで防衛相などの要職に就いたことがあるとはいえ、いままで6つの政党に所属したことから「政界渡り鳥」と仇名され、しばしば「単なる目立ちたがり屋」などと揶揄(やゆ)されていた。

それだけに、同年9月に彼女が福田康夫首相の後継者を選ぶ自民党総裁選に立候補し、かつ、小泉純一郎元首相、中川秀直元幹事長、武部勤元幹事長、衛藤征士郎元防衛庁長官などの自民党の有力政治家に応援を受けたのは、椿事(ちんじ)と呼んでよかろう。

 

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【このとき、彼女が自民党を離党する(民主党と非自民連立政権を組む?)可能性まで取り沙汰されたことも注目に値する(小誌2008年10月1日「連立政権組み替えの兆候〜『中朝戦争賛成派』が小池百合子新党に集結」)。】

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小池が日本初の女性首相になれば、上記の先住民決議と「合わせて一本勝ち」となって、日本は「女性や少数民族の権利を抑圧しない民主主義国家」であることが証明され、米国から人権問題で制裁される可能性はなくなる。

 

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もちろん米国が同盟国である日本を相手に借金の踏み倒しをやる可能性はそう高くはない。が、1971年の悪夢があるだけに、日本の指導層としてはそこまで心配する必要があったのだろう(小誌前回記事「究極の解決策〜勝手にドル防衛?」)。

 

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●従軍慰安婦の亡霊●

それに、もう1つ、日本にはこの時期に女性首相を誕生させておいたほうがいいと考えられる理由がある。それは「従軍慰安婦問題」だ。

 

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筆者はこの問題は「特定マスコミが、戦時の勤労動員だった女子挺身隊を、強制的な“慰安婦狩り”制度だったと歴史を捏造した結果」(読売新聞2001年3月2日付朝刊3面「社説 歴史教科書 日本は思想の多様性許容の国だ」)であり、日本政府は本来いかなる謝罪もすべきでなかったと考えている(小誌2007年6月28日「●いつか来た道」)。

 

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朝鮮半島出身の「従軍慰安婦」の正体は、朝鮮人の女衒(ぜげん)によって、当時合法だった民間の売春業者に斡旋された職業売春婦であり、彼女らが第二大戦後に韓国で受けた差別は、売春婦一般に対する韓国(朝鮮)人の軽蔑感に起因するものであり、日本政府とは関係がない。

 

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第二次大戦中のフランスで、占領軍であったドイツ軍相手に商売をしたフランス人娼婦は、戦後、フランスの一般市民によってリンチにかけられ、髪を剃り上げられたり、「ナチスと寝た女」と書かれた札を首からぶら下げられて引きまわされたりした。これを目撃したシャルル・ド・ゴール将軍(のちのフランス大統領)は、フランス人の道徳的堕落を嘆いたが、けっして娼婦たちの客であったドイツ人への非難などはしなかった(1995年10月21日放送のNHKスペシャル『映像の世紀』(7)「勝者の世界分割」)。なぜなら、これはフランス人同士の問題であって、ドイツ人は「第三者」だからだ。

 

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この問題における韓国政府の日本批判は、朝鮮人女衒の、戦前から現在まで続く人身売買を隠蔽するためではないかとすら、筆者は疑っている(中央日報日本語版2006年6月21日付「韓国人女性8000人、米国で‘遠征売春’」によると、ロサンゼルスで「毎月逮捕される70〜80人の売春女性のうち9割が韓国人」。このため、ロスに限らず米国各地で、韓国人女性がマンションに住もうとすると「どうせ買春に使うんだろう」とみなされ入居を拒否されるケースが続発しているという)。

 

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【とくに、2007年以降英語圏において、(従軍)慰安婦の英訳を、「マクドゥーガル報告書」の「comfort woman」から「sex slave」に替えようとする動きが見られるのは、「韓国の陰謀」の疑いが濃厚だ。なぜなら、2006年までは、英語圏でsex slave(性奴隷)と言えば、在米韓国人売春婦のことを指していたからだ。この言葉は元々、米サンフランシスコ・クロニクル紙(SFC)が、韓国人業者が韓国人女性を米国で売春婦としてこき使う実態を告発する特集記事の中で使ったことで、広まった(同紙Web 2006年10月10日「DIARY OF A SEX SLAVE」)。

その特集記事のシリーズでは、にわかには信じ難いが、「韓国は国内総生産(GDP)の4%をセックス産業で稼ぎ出している」と指摘している(同紙Web 2006年10月6日「SEX TRAFFICKING / San Francisco Is A Major Center For International Crime Networks That Smuggle And Enslave」)。

この連載記事が掲載された直後の米中間選挙で再選された、カリフォルニア州サンフランシスコ近郊の、韓国系住民の多い選挙区選出のマイケル(マイク)・ホンダ米下院議員は、2007年1月に、上記の「慰安婦決議」を米議会下院に提出している。困ったことに、彼はオバマ次期政権に教育長官として入閣する可能性がある(仏AFP Web 2008年11月7日「オバマ政権入り狙うアジア系米国人コミュニティー」)。】

 

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世界屈指の「捨て子大国」であり「孤児輸出国」「性奴隷輸出国」でもある国には、人権問題で日本を批判する資格などないはずだ(東亜日報日本語版2001年4月5日付「社説 美しい始球式」は「韓国は『孤児輸出国』の汚名を、未だに返上できていない」「『人権と福祉』を語る資格などあるのだろうか」と自戒している。中央日報日本語版2006年2月26日付「昨年、米に養子縁組した韓国人1630人…世界4位」)。

 

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が、元々「特定マスコミ」の誤報で始まったものだったとしても、従軍慰安婦問題は国連や米国議会や欧米のマスコミで広く論じられ、(誤って)伝えられて定着している(その代表例が1998年8月に国連人権委員会差別防止・少数者保護小委員会で採択された「マクドゥーガル報告書」の附属文書)。

 

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このため、この問題が、ある日突然米国政府によって「日本の人権問題」として提起され、(米国財政再建のため)日本に経済制裁を課す口実に使われる恐れがないとは言えない。現に2007年3月、米議会下院は、翌4月に迫った安倍晋三首相(当時)の初訪米を迎え撃つかのように、この問題で日本を非難する決議の審議を本格化させた(このとき、米議会民主党首脳と会って可決阻止を働きかけた日本政府高官のなかに、当時首相補佐官だった小池がいた。東亜日報日本語版2007年3月24日付「米下院の元慰安婦決議案 日本、通過阻止で首相まで総力ロビー」。小誌2007年6月7日「安倍晋三 vs. 米民主党」)。そして、同年7月、結局この決議は可決された。

 

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 (敬称略)

 

 

 

 

 

 

 

 

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【この問題については次回以降も随時扱う予定です。
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