人権帝国主義

その2

 

〜シリーズ

「究極の解決策」

(2)

 

(Dec. 01, 2008)

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■人権帝国主義〜シリーズ「究極の解決策」(2)■

 

2009年1月に米国に史上初の黒人大統領が誕生し、彼が米国債を乱発する政策を採ると、日本は、自らが人権を抑圧しない民主主義国家であることを「証明」する必要に迫られる。

 

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●「人権派」対策●

 

このとき、米議会上下両院の多数党は、「人権派議員」を多く抱えるリベラルな米民主党だった。そして、この米民主党に近い、リベラルな新聞として知られる米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、人権問題で日本のあら探しをするのが好きだ。

 

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ずっと本名(夫の姓)でTV出演していたNHKの女性アナウンサーが、離婚後ももはや本名でない旧姓を使って(慣例に反する形で)出演し続けたことをスポーツ紙や週刊誌に暴露された結果、番組降板に追い込まれた、という逸話を当事者の顔写真入りで詳細に報道して、日本では女性の職業的権利が抑圧されていると批判したことすらある(NYT 1999年10月27日付「Tokyo Journal; TV Star Loses Marriage, Privacy and Her Job Too」、朝日新聞1999年10月28日付夕刊18面「離婚女性に冷たい日本? 米紙、NHK黒田アナ降板を分析」。あきれたことに、NYTは当事者のアナウンサーに直接会うこともせず、彼女のプライバシーを侵害したゴシップ記事を非難しているくせに、そのゴシップ記事を借用し、切り貼りして、彼女の娘や元夫や、元夫の母のプライバシーまで詳報している。これは明らかに「事後共犯」であり、まるで三流ブログのような書き方だ)。

 

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【日本に女性差別がぜんぜんないとは言えないが、このNYTの分析はうがちすぎだ。日本のマスコミ界を知っている者なら、原因は差別ではなく劣等感だとすぐにわかるはずだ。すなわち、NHKの就職試験を受けて落ちて他社の記者となった連中が、日頃からNHKに対して抱いている劣等感を処理するため、NHKの揚げ足を取ったのである。いくつかのメディアの報道を注意深く見ていれば、NHKの問題を針小棒大に騒ぎ立てるこの種の揚げ足取りが日常的に繰り返されていることは、すぐにわかるはずだ。】

 

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米民主党やNYTのこうした動きは「リベラル派のおせっかい」にすぎないが、いまとなってバカにできない。過去にこうした動きを放置して来たことは明らかにまずかった。なぜなら、2009年1月からワシントンでは、上下両院のみならずホワイトハウスも民主党が支配することになるからだ。

 

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【NYTのような米国の「人権派」が日本に限らず世界各国の人権問題をほじくり出すことに異様に熱心なのは、米国の国益にあわせて都合よく他国を「制裁」するための口実がほしいから、と考えるとよく理解できる。】

 

 

 

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したがって、日本の保守派は、従軍慰安婦問題など、国内外の反日的な「人権派」によって捏造された歴史認識に反論するのは暫時控えるべきだし、どうしても反論したければ、まず女性の首相を誕生させてからにすべきだ。

 

 

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逆に、1人でも女性の首相を誕生させておけば、以後、日本は(女性に関する)人権問題で諸外国から非難されることを半永久的に免れることができ、歴史認識問題でも優位に立つことができる。

たとえば、「パク・クネ(朴槿恵前ハンナラ党代表)が、党内で2007年韓国大統領選の候補者に選ばれなかったのは、女だから」とささやかれるほど「男尊女卑」の伝統が強い韓国には、人権問題で日本を批判する資格はなくなるだろう(逆に、日本に女性首相が誕生する前に韓国に女性大統領が誕生すると、日本の国際的威信は相当に低下する。だから、愛国的日本人は、麻生太郎などさっさと首相の座から引きずり下ろし、小池と交代させるべきだ)。

 

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●臥薪嘗胆●

このように見て来ると、2002年に当時の小泉首相(福田康夫官房長官)が、日本の朝鮮半島に対する植民地支配を謝罪するかのような「日朝平壌宣言」に署名したことや、のちに首相になった福田が同様の歴史観を表明し、たとえば靖国神社などに対して否定的な態度をとったことは、たとえそれが捏造された歴史を鵜呑みにする「自虐史観」に沿うものであったとしても、外交の方向性としては正しかったのではないか、という気がする。

 

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たしかに、証拠もないことで謝罪したり、自国の歴史観を他国の低級な歴史観に同調させたりすることは、道義に反する。しかし、地球上には圧倒的な国力をもって横暴の限りを尽くす「人権帝国主義国家」が存在するのだから、いつも正論が通るとは限るまい。

 

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福田はそのこわさを知っていたから慎重に振る舞った。が、安倍は未熟だったので米国をなめてかかって、米議会における慰安婦決議の可決などという手痛いしっぺ返しを受け、日米関係に禍根を残した。

 

 

 

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愛国心とは、本来慎重に発揮すべきものであり、安倍のように……幕末の尊皇攘夷派の過激分子のように……安っぽく振りまわすべきものではない、と考えるべきだろう。

 

 

 

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●米国債大増発●

先住民決議の採択は2008年6月だったが、あとになって考えてみると、結果的に、この決議は対米関係上非常に役に立つだろうと思われる。

 

 

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なぜなら、2008年11月に米大統領に当選した少数民族出身のバラク・オバマ次期大統領のもとでは、米国は以前にもまして国債を乱発すると考えられるからだ。

 

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選挙運動中に発表されたオバマの経済政策によると、彼は中低所得層への減税と、赤字国債を財源にした大型公共(土木)事業とを経済政策の柱にすると予想される(共同通信2008年2月14日付「オバマ氏が雇用対策発表、環境や公共事業で700万人」、FujiSankei Business i 2008年11月6日「オバマ氏当選 市場好感 バラマキ色に不安も」)。つまり、米国の財政赤字は当面維持または拡大され、それを賄うための赤字国債の発行は増えることはあっても減ることはなさそうなのだ。

 

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おそらく、オバマ政権は、少なくとも1〜2年目までは財政規律を度外視して赤字国債を大増発し、日本や英国などの同盟国、中国などの新興国や、OPEC諸国に大量に売り付けるだろう。2008年9月の米証券会社大手リーマン・ブラザーズの破綻に象徴される「100年に一度」の金融危機から米国経済を救うには、さしあたり、米国内の有効需要(この場合は、個人消費支出および政府財政支出)を増やす以外に手がないからだ。

 

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そして、2〜3年後、あるいは4〜5年後、彼の政権は突如、「人権問題」または「中朝戦争」、あるいはその両方を口実に、「二重通貨制」を悪用して、国債発行残高の数%ないし数十%を踏み倒し、あるいは、古いドル札を偽札扱いにして、ドルの流通量を一気に収縮させるデフレ政策(ドル高政策)を採って、米国の経済財政を再建するだろう(「中朝戦争」については小誌2008年3月6日「中朝山岳国境〜シリーズ『中朝開戦』(13)」、同2007年3月1日「脱北者のウソ〜シリーズ『中朝開戦』(2)」ほかを、「二重通貨制」については小誌前回記事「究極の解決策〜勝手にドル防衛?」を参照)。

 

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もしも日本が女性首相を誕生させたあとで、オバマが、チベット人などの少数民族を抑圧する中国への「人権外交」の一環として、中国に対する米国債償還制限を実施すれば、米国民はオバマの正義に熱狂し、同盟国の日本は債務不履行を免れ、貧乏くじは中国が引く…………なかなかいいシナリオだ。米国の覇権も同盟国との関係も安泰だし、日本経済も、もし中朝戦争が起きた場合は、戦後、中国と北朝鮮の「復興特需」に引っ張ってもらえば、ある程度は景気を回復できるだろう。

 

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【日米が最終的にどうやって景気を回復させるか、について述べようとすると、過去3世紀ぐらいの経済史を俯瞰する必要があるので、この問題は12月下旬か1月以降に、機会をあらためて取り上げたい。】

 

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一見すると、2008年の米国は、経済政策に失敗しているように見える。しかし、今後米国が再び圧倒的な国力を回復するために必要な、その大前提となる政策の1つはすでに実施されており、その効果は現在でも確認できる。それについては次回

 

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【この記事は純粋な予測であり、期待は一切含まれていない。】

 

【ネットユーザーの皆さんにお願い申し上げます。

英語圏で「sex slave」(性奴隷)と言えば、本来は「韓国のセックス産業にだまされて米国に輸出された韓国人売春婦」のことを指すのであって、原則的にそれ以外の者を意味しません。その証拠にgoogle.comで「sex slave」と入力して検索すると、上記のSFCの記事が、2年前の記事なのにいまだに、かなり上位で表示されます。もしネット上のブログでこの言葉が間違って遣われているのを見かけたら、この記事の内容を知らせて、誤りを指摘して差し上げて頂ければ幸いです。

女性の人権を守る活動をなさっているアジアの市民運動の方々には、次のようにおすすめします。

大昔の「戦時性奴隷」などよりも、21世紀現在の韓国人業者による「平時性奴隷」に対する現在進行形の人権侵害のほうが圧倒的に深刻なので、活動の目的をお間違えにならないほうがよろしいと存じます。】

 

【お知らせ:佐々木敏の小説『天使の軍隊』が2007年4月26日に紀伊國屋書店新宿本店で発売され、4月23〜29日の週間ベストセラー(単行本)の 総合10位(小説1位)にランクインしました。】

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 (敬称略)

 

 

 

 

 

 

 

 

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【この問題については次回以降も随時扱う予定です。
次回メルマガ配信の予約は → こちら
尚、日本の携帯電話は200機種以上あり(PCと違って)それぞれの仕様が著しく異なるため、全機種での動作を確認し保証することができません。あしからずご了承下さいませ。】

 

 

 

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