星野続投反対!!

その4

 

〜シリーズ

「北京五輪」

(4)

 

(Aug. 31, 2008)

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■星野続投反対!!〜シリーズ「北京五輪」(4)■

 

北京五輪野球日本代表の星野仙一監督は、五輪開幕前、日本をライバル国のチームに対して圧倒的に有利な立場に置くことのできる機会を得られたにもかかわらず、自らそれを放棄した結果、逆に不利になり、メダルをのがして、4位に終わった。

 

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●韓国がキューバに勝った理由●

準決勝で、岩瀬は韓国代表の「李承ヨプごとき」に本塁打を打たれて、それで日本が負けたが、あの試合、第3打席までは、李承ヨプは完全なブレーキで、2三振、1併殺打だったし、初回には走塁妨害までしでかして日本の先取点に貢献していた。

この第3打席まで、彼の北京五輪本大会通算打率は1割台で、キューバ戦、カナダ戦、日本戦ではノーヒットだたったから、そこまでは筆者の予測(李承ヨプは安全パイ)は完全にあたっていた(小誌2008年8月4日「イ・スンヨプの謎〜シリーズ『北京五輪』(3)」)。

 

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結局、第4打席で本塁打が出たのは、岩瀬の「練習試合の不足による国際審判への不適応」が原因なのだろうが、あそこでヒットを打たなかったら、李承ヨプは、兵役免除のかかった若い選手たちから「あんたのせいでオレが兵役に行って殺されたらどうしてくれる」と突き上げられ、集団リンチに遭いかねなかっただろう。だから、あそこで彼が異常な集中力を発揮し、実力以上の打撃ができたのはそういう事情だろう。

 

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が、翌日の決勝戦のキューバ戦でも、分不相応に本塁打を打っている。

というか、韓国代表自体が分不相応に格上のキューバに勝ってしまった。すでに、兵役免除という「究極のニンジン作戦」は終わっており、韓国政府は「金メダルを取ったら1人10億ウォン(約1億円)」という「第二のニンジン」を用意していたとはいえ(2008年8月23日放送のNHK-BS1『北京五輪中継』)、こんどはもう命懸けの戦いではない。いったいなぜだろうと、筆者はしばらく理由を考えていた(まさか、決勝戦でも電話線を切ったのか)。

 

 

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そして、わかった。

決勝Tに進んだ4か国のうち、韓国だけが、3月に台湾で行われた世界最終予選に出ていたのだ。

日本はアジア予選で、米国とキューバは米大陸予選で五輪本大会出場を決めてしまったため、そのあと予選がなかったが、韓国はアジア予選で本大会出場を決められなかったため、他の7か国とともに世界最終予選に出て、五輪本大会一次Lとまったく同じ8か国総当たりのリーグ戦を、五輪本大会と同様の国際審判のもとで戦っていたのだ。

 

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これは最高の予行演習になる。五輪本番をどう戦えばいいか、事前にシミュレーションしているのと同じことだからだ。

2007年のセ・リーグのペナントレースで巨人は1位になり、中日は2位になったため、中日は阪神とのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(2勝先取制)にまわった。

中日はこれに勝ったため、巨人と第2ステージ(3勝先取制)を戦ったが、なんと第2ステージでは中日が勝ってしまった。

CSの前身は2004〜2006年にパ・リーグが単独で実施していた同じ方式のプレーオフだが、2004〜2005年にペナントレースで1位になったソフトバンク(2004年は福岡ダイエーホークス)が2年連続で日本シリーズ出場をのがしたため、その当時から言われていたことだが、第1ステージの間、ペナントレース1位のチームは試合をしないため「試合のカン」が鈍るので、不利なのだ。他方、2位のチームは第2ステージのシミュレーションを第1ステージで行うことになるから、結果的に有利になる。

 

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つまり、事前に本番さながらのシミュレーションをしていたことが、韓国が北京五輪本番で全勝優勝できた最大の要因なのではあるまいか、と推測されるのだ。

 

韓国代表選手たちは、2007年12月に国際審判のストライクゾーンにとまどったあと、2008年2月の春季キャンプ開始と同時に、国内のストライクゾーンに対応した。が、世界最終予選に備えて2月下旬に台湾にはいり、練習試合から外国人の審判のもとで「国際ストライクゾーン」を経験して、3か月前の記憶を取り戻し、それが終わって3月中旬に韓国に戻ると、また国内のストライクゾーンに対応し、8月上旬になると、また外国人の審判のもとで五輪直前の強化試合に臨んで4か月前の記憶を取り戻した……ということかも知れない。

 

8か月前の記憶を完全になくして、五輪本番で審判に抗議した星野JAPAN 1.1とは大違いだ。

(>_<;)

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●読売の陰謀?●

小誌で以前述べたとおり、米国を除く世界のほとんどのプロ球技では、国内リーグより、国を代表するナショナルチームの出場する国際大会を重視しており、したがって当然「A代表」「五輪代表」が最大の人気チームである。日本サッカー界(Jリーグ)はこれに倣っている。

 

 

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他方、日本プロ野球界、とくにセ・リーグは、永年、巨人というただ1つの超人気球団が牛耳って来たので、そういう構造になっていない。巨人(の親会社である読売新聞社)は、シドニー五輪で五輪野球史上初めてプロの参加が認められた際、五輪代表が巨人を上回る超人気チームになることを恐れ、セ・リーグだけパ・リーグと異なる代表選手の選考基準を設けて、セ・リーグの有力選手が五輪に出場することを徹底的に妨害した(この結果、日本でいちばん愛国心のない新聞が読売新聞であることも判明した)。

 

 

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シドニー五輪野球で日本が銅メダルも取れずに惨敗すると、読売に非難が殺到し、結局読売は、日本代表監督の座に巨人関係者を送り込み、日本代表の人気を利用して巨人の人気を補強するという方針に切り替えたようだ。2004年アテネ五輪と2006年WBCの日本代表監督にはそれぞれ、巨人OBの長嶋、王を就任させている。

 

 

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しかし、2人ともいまや健康問題を抱え、もはや代表監督就任は不可能な情勢だ。そして、この2人を除くと、もはや名監督と呼べそうな巨人OBの監督経験者はほとんどいない。

そこで、読売はもう巨人OBにこだわっていられなくなり、2003年に阪神タイガースをセ・リーグで優勝させた監督として人気のある星野(中日OB)を日本代表監督にして、五輪かWBCのどちらかで優勝させ、「国民的英雄」にしてから巨人の監督に迎えて巨人人気を補強しようと考えた、らしい(そういう推測記事が一部メディアにある)。

 

 

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しかし、星野が北京五輪でメダルをのがし、アテネで銅メダルを取った中畑以下になってしまったため、読売のシナリオは狂った。

 

 

 

 

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短期間ながら選手として巨人に在籍したことがあり、かつ、2007年の日本シリーズとコナミカップ(コナミ杯)アジアシリーズを制し、国際大会の優勝経験もある中日の落合博満監督が(読売の意向を受けた)NPB関係者から打診されて断ったため(日刊スポーツWeb版2008年8月30日「落合監督『私はやりません』WBC断った」)、、読売は社を挙げて応援できる唯一の日本代表監督として、また星野を推さざるをえなくなった。

 

 

 

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だから、ナベツネこと、渡辺(渡邉)恒雄・読売新聞グループ本社会長は「ほかにいるか?……星野君以上の人がいるならいい。でも、いるかね? オレはいるとは思わない」などと暴言を吐いて、星野をWBC日本代表監督に就任させようとするとするのだろう(スポニチWeb版2008年8月26日「渡辺会長がWBC指揮官に星野監督後押し」)。

 

 

 

 

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【読売グループのスポーツ新聞は「星野JAPAN惨敗の理由」と題する記事を連載し、でたらめな、あるいは、重要でない原因を挙げている。

たとえば、「大会前はほとんど生じないと思われていた延長十一回(TB制)への突入が、大会が始まると、台湾対中国、韓国対中国など、明らかに力の差があるチーム同士でも実現したため、大会の途中から、TB制にはいった場合十一回のマウンドはバント処理のうまい藤川球児(阪神)に任せると決め、ほかのリリーフ投手陣、とくに川上憲伸(中日)、岩瀬への負担が重くなった」という指摘は明らかに事実に反する(スポーツ報知Web版2008年8月26日「[星野JAPAN惨敗の理由](下)タイブレークの影に怯え継投ミス」)。

じっさいに日本がTB制に突入した一次L米国戦の十一回表のマウンドに上がったのは藤川ではなく岩瀬だったではないか。

この連載の意図は明白で、でたらめな敗因を挙げておいて「これらの問題は監督が反省すれば解決できるから、星野続投でいいでしょう」と言いたいのだろう。しかし、このようにすぐバレるウソを平気で書く記者は、即座に辞表を出すべきだ。記者たる資格がない。】

 

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ナベツネのいう「星野君以上の人」というのは、「読売新聞の販売拡張戦略にとって星野以上に役立つ、明るいイメージの人」であって、野球の監督として星野以上の能力や実績を持つ知将、たとえば、南海ホークス、ヤクルトを優勝させた実績のある楽天の野村監督のことではない。

 

 

 

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野村はそれがわかっているから、2009年WBCへの星野「続投」を支持したうえで、自ら「星野改造内閣」にヘッドコーチとして入閣したいなどと言い出したのだろうし(スポニチWeb版2008年8月27日「ノムさん“物言う日本代表ヘッド”に立候補」)、読売と新聞拡販戦略で争う中日(ドラゴンズの親会社、中日新聞社)は続投に反対なのだろう(スポニチWeb版2008年8月26日「中日社長『WBC星野監督』を拒絶!!」)。

 

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とはいえ、星野が続投するとは限らない。

 

 

 

 

 

 

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読売は新聞の拡販につながると思うから星野を続投させたいのであって、そうでないと思えば、つまり、たとえば、星野続投に反対する大勢の読者が不買運動を起こせば、星野続投はなくなる。

 

 

 

 

 

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なんとなく、読売が中日を押し切って「星野監督 + 野村ヘッド」の連立政権、というか、事実上の野村政権を実現させてしまうような気がするが……それは「敗戦責任」のけじめがつかないので、はなはだ好ましくないが……星野監督にせよ、野村ヘッドコーチにせよ、野村監督にせよ、「(事実上の)次期日本代表監督」は必ずこの記事を読んで、電話線を切られた場合の対策まで考えて、WBCに臨んでもらいたい。

 

 

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実はこの記事はそのために書いたのだ。

 

【お知らせ:佐々木敏の小説『天使の軍隊』が2007年4月26日に紀伊國屋書店新宿本店で発売され、4月23〜29日の週間ベストセラー(単行本)の 総合10位(小説1位)にランクインしました。】

 

 

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 (敬称略)

 

 

 

 

 

 

 

 

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【この問題については次回以降も随時扱う予定です。
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尚、日本の携帯電話は200機種以上あり(PCと違って)それぞれの仕様が著しく異なるため、全機種での動作を確認し保証することができません。あしからずご了承下さいませ。】

 

 

 

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