連立政権組み替えの兆候

その3

 

〜「中朝戦争賛成派」が

小池百合子新党

に集結!?

 

(Oct. 01, 2008)

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■連立政権組み替えの兆候〜「中朝戦争賛成派」が小池百合子新党に集結!?■

 

2008年秋、小池百合子元防衛相は次期衆議院総選挙を機に自民党を離党して新党を作る可能性があるが、彼女の背後には「中朝戦争賛成派」が集結している。他方、公明党は自民党との連立政権から離脱する決意を七割方固めたようだ。

 

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●思わずホンネ?●

2008年9月23日、公明党大会が開かれ、太田代表が再選された。

彼は再選決定後、党所属国会議員らを前にした挨拶で「ときはいま」と言ったあと一瞬、間をとった(2008年9月23日放送のNHKニュース、日経新聞Web版2008年9月23日「太田公明代表が再選 自民麻生氏、自公連立『成熟した関係を』」)。

 

 

 

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日本史やNHKの大河ドラマの好きな方はご存知だろう。

この「ときはいま」は、天正10年(1582)5月、つまり、天下人・織田信長が家臣・明智光秀に討たれる本能寺の変の直前、光秀が京都に近い愛宕山(あたごやま)で連歌の会(愛宕百韻)を催した際、みずから詠んだ発句(ほっく)「時(土岐)は今雨(天)が下しる五月(さつき)哉(かな)」の冒頭である。

 

 

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この発句は掛詞(かけことば)を多用しており「土岐源氏一門の明智が天下に下知(げち)する」とも解釈できることから、本能寺の変のあと(の山崎の合戦で光秀が羽柴秀吉に討たれたあと)、光秀が信長に対して謀叛(むほん)を起こす決意を事前に表明したものではないか、と疑われた句として有名だ。愛宕百韻に同席した連歌師・里村紹巴(さとむら・じょうは)などは羽柴(豊臣)秀吉から「事前に謀叛の計画を知っていただろう」と詰問されたほどだ。

 

 

 

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太田は30年来堺屋太一の著作を愛読しているほか、歴史小説や歴史ノンフィクションもかなり読んでいるので(公明党代表 太田あきひろWeb 2006年9月「私の読書録 堺屋太一著『団塊の世代“黄金の十年”が始まる』」、同2006年4月「浅田次郎著『お腹召しませ』」、同2006年3月「加治将一著『あやつられた龍馬』」)、相当な「歴史(日本史)好き」と考えられる。

そして、筆者の知る限り、本能寺の変に関心のない歴史好きは日本にはいないので、太田にとって「ときはいま」が謀叛直前の謀叛人の言葉であることは間違いない。

 

 

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太田は「ときはいま」と言って間をとったあと、もちろん「あめがしたしる……」とは言わなかったが、代わりに「まさに戦闘開始であります」と続けた。「戦闘」とは来たるべき次期衆議院総選挙を指すと解釈できるが、「自民党との連立政権からの離脱を含む政界再編」(公明党の与党としての生き残り闘争)という意味もある「掛詞」かもしれない。

 

 

 

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いや、たぶんそうだ。なぜなら、太田は、小池を町村派に対して造反させた中川秀直の著書や、民主党の小沢のブレーンである榊原英資(さかきばら・えいすけ)の著書、さらには政界再編に関する著書も愛読しているからだ(とくに中川の著書への思い入れは強く、公明党内で「必読書」として党員に読むことをすすめている。公明党代表 太田あきひろWeb 2008年6月「私の読書録 中川秀直著『官僚国家の崩壊』」、同4月「榊原英資著『日本は没落する』」、同2007年8月「篠原文也著『政界大変動』」)。

 

 

 

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筆者は以下のように推理する:

 

公明党は「二度と日米同盟を傷付けるような行動はとりません。給油法案にも賛成しますから、あなたの親しい検察幹部に、新銀行東京スキャンダルがらみで公明党関係者(都議会議員)を逮捕しないように頼んで下さい。たとえ逮捕するにしても、せめて2009年7月の都議選が終わるまで待って下さい」とQに泣き付いた(小誌前回記事「東京地検 vs. 公明党〜福田首相退陣は政界大再編の前兆?」)。

すると、Qは霞が関中枢(おもに検察庁、外務省)の総意を代弁して「小池新党を支持し、自民党との連立政権を解消して“民主党-小池新党-公明党”で連立政権を組め」と公明党に交換条件を提示し、公明党はこれを呑んだ……。

 

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福田康夫前首相辞任後の自民党総裁選は、本命の麻生が予想どおり圧勝したため、公明党が期待したほど盛り上がらなかった(読売新聞Web版2008年9月25日「麻生内閣支持49.5%、『福田』発足時下回る 読売世論調査」)。このまま、不人気な自民党と連立政権を組み続けていると、公明党は野党に転落する恐れがある。

 

 

 

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他方、民主党は次期衆議院総選挙における勝ち負けにかかわらず、参議院で多数を握っていることを背景に、公明党の支持母体である宗教法人、創価学会の池田大作名誉会長を「憲法の政教分離原則に違反している疑いがある」という理由で参議院で証人喚問する可能性が昨2007年からある(小誌2007年11月16日「先に『小連立』が失敗〜自民党と民主党の『大連立政権構想』急浮上のウラ」)。

その可能性がいまも消えていない証拠に、2008年9月になっても、民主党内には、創価学会批判を続ける矢野絢也(じゅんや)元公明党委員長を参議院に参考人招致する動きがある(毎日新聞Web版2008年9月5日「臨時国会:民主、矢野氏招致で攻勢 公明揺さぶり、狙いは早期解散」)。

 

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2008年9月の自民党総裁選では、小池は46人の国会議員票を得ている。この全員が小池とともに離党して新党を結成して次期総選挙で全員当選し、同時に、公明党も衆議院の現有議席の31を維持すると仮定すると、両党あわせて77議席になる。

全員当選は無理でも「7掛け」(50議席以上)は堅いだろう。とすると、民主党は次期総選挙で190議席前後獲得すれば、小池新党、公明党と組むことによって、国民新党、社民党の賛同がなくても、ラクに政権が取れるということになる。これは現実的に十分可能な数字だ(『サンデー毎日』2008年10月5日号 p.23「『麻生総理』でも90議席減 自民 民主 『大乱』突入」の予測によれば、次期衆議院総選挙における民主党の獲得議席は207、公明党は29、自民党は分裂しないという想定で213)。

 

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もちろんQの背後にいる官僚機構(検察庁、外務省が中心)は、総選挙までに自分自身(各省庁)や自民党のスキャンダルを次々にマスコミにリークし、あるいは、すでにリークされている「汚染米」スキャンダルを増幅し(毎日新聞Web版2008年9月24日「汚染米:三笠フーズを一斉捜索 食品衛生法違反容疑など」)、政権与党である自民党が選挙で不利になるように工作するだろう(安倍政権を潰すときは、まさにこの手を使った。小誌2007年6月28日「消えていない年金〜シリーズ『2007年夏参院選』(2)」)。

 

 

 

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民主党が小池新党、公明党と連立して政権を取った場合、給油法案は(2008年11月の米大統領選の結果を待って)1年間暫定延長、陸自のアフガン派遣は見送り、後期高齢者医療制度は大幅見直し、郵政民営化は小幅見直し(国民新党と訣別)、(公明党の提唱する)定額減税は実施(継続)となるだろう(朝日新聞Web版2008年8月31日「定額減税『バラマキではない』 公明・太田代表」)。

 

その場合はもちろん、小沢は東京10区、12区からは立候補せず、元どおり岩手4区から立つことになる。

 

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【2008年9月28日現在、民主党のWebサイトで見る限り、東京10区から立候補する予定の江端貴子・元東大特認准教授は「公認内定候補」であって、公認候補ではない。が、彼女は新人であり、たとえ公認候補として立候補しても、この選挙区からは国民新党の小林興起が立ち、反自民票が割れると推定されるので、小池の当落には影響はあるまい。小沢が江端を最終的に公認するなら、それは小池新党との間で「連立」の密約が成立したことを意味する可能性が高い。

そうなったら、あとは公明党だけだ。】

 

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●自民党がぶっ壊れる日●

公明党と不可分一体の創価学会は全国に800万世帯(千数百万人)とも言われる会員を持っている。話半分としても、それを衆議院の全国300の小選挙区で割ると、1選挙区あたり1万〜3万票になる。自民党の中にはこの創価学会票がないと当選できない、地盤の弱い議員が大勢いるので、自民党は1999年以来ずっと公明党との連立を維持して来た。

 

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次期総選挙の前かあとかはともかく、「民主党-小池新党-公明党」の連立ができると、自民党は衆議院で小池新党参加者の議席を失うだけでなく、公明党の支持でかろうじて当選していた衆議院議員数十人をも(落選または選挙前後の離党という形で)同時に失うことになるので、自民党の議席は2008年9月現在の304議席から大幅に減って、180議席以下、最悪150議席程度にまで減るだろう(たとえ麻生が衆議院の解散・総選挙を渋る場合でも、野党提出の内閣不信任案に、野党各党と小池新党と公明党と「創価学会依存度」の高い自民党議員が賛成して可決すれば、麻生内閣を解散・総選挙に追い込むことができる)。

 

 

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それは、かつて小泉がぶっ壊さなかった自民党が、小泉の手によらずに、ほんとうにぶっ壊されるということだ。

愛党心の熱い小泉にはとても耐えられない事態だから、彼は小池新党には参加せず、政界を引退するのだろう(読売新聞Web版2008年9月25日「小泉元首相が引退へ、次期衆院選に出馬せず」)。

 

 

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いや、その反対かもしれない。

小泉が政界引退と同時に、自民党員であることもやめるなら、彼は自民党の党則から自由になるからだ。

 

 

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自民党の党則では、党員は党執行部の指定する党公認候補または党推薦候補の応援をする義務があり(自民党Web 2008年1月17日「党則」第3条の3)、拒否すれば党紀委員会で処分されるから、たとえ自分の構造改革路線を否定する麻生の応援でも、命じられれば、しなければならない(現に田中眞紀子元外相は自民党員だった当時、2001年7月の参議院通常選挙や2002年4月の参議院新潟選挙区補欠選挙で自民党公認候補を熱心に応援しなかったことを理由に党紀委員会にかけられ、戒告処分や党員資格停止処分を受けている。共同通信2002年6月20日付「田中氏に党員資格停止2年 自民党紀委が決定」)。

 

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が、党員でないとなれば、単なる「文化人」と同じだから、だれを応援しようが小泉の勝手だ。応援の対象は自民党の公認候補や推薦候補である必要はなく、小池新党だろうが民主党だろうが、好きな党の候補者を選んで自由に応援に行ける。

 

 

 

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やはり、自民党にとどめを刺すのは小泉か。

 

【お知らせ:佐々木敏の小説『天使の軍隊』が2007年4月26日に紀伊國屋書店新宿本店で発売され、4月23〜29日の週間ベストセラー(単行本)の 総合10位(小説1位)にランクインしました。】

 

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 (敬称略)

 

 

 

 

 

 

 

 

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【この問題については次回以降も随時扱う予定です。
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